修理を制限するアップル
この問題に対し、アップルは「ユーザーエクスペリエンスに影響を与える可能性がある安価なサードパーティ製部品からハードウェアを守っている」と弁明している。しかし、問題は修理の最も重要な部分であるキャリブレーションソフトウェアが独立系修理業者に開放されていないことだ。修理の専門家でiCorrect創業者のリッキー・パネサールは「純正部品を自宅で交換した場合、ユーザーが製品を所有しているのだから、ソフトウェアのキャリブレーションを自身で行えるようにするべきだ」と述べている。アップルが交換部品の認証に必要なキャリブレーションソフトウェアの使用を制限したことで、デバイスを修理できるのはアップルと、同社が認証した修理業者、またはアップルから直接パーツを購入したセルフサービス修理プログラムの利用者に限定され、再利用部品を使った安価な修理はほぼ不可能となっている。
その後、アップルはユーザー自身による修理をいくらか容易にした。同社は最近、故障したデバイスを持つユーザー向けに診断ツールをリリースしたほか、自分で修理したいユーザーのために、工具や部品も提供している。しかし、iFixitがニュースサイトArs Technicaに寄せた声明によると、この診断ツールはiFixitが取りつけた環境光センサーを認識できなかったという。
また、セルフサービス修理プログラムでは、利用者はアップルから新品の部品を購入しなくてはならず、他のアップル製デバイスの部品を再利用した場合には、機能が無効になる問題が発生する可能性がある。
スマートフォンの価格がより高価になると同時に、企業が環境への取り組みを主張する中、デバイスの販売元はユーザーが端末をより長く使い続けられるようにし、修理の選択肢を増やして行くべきだ。
(forbes.com 原文)