スペースXが「宇宙の携帯基地局」打ち上げに成功、日本のKDDIも対応へ

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イーロン・マスクが率いるスペースXは1月3日、世界中のあらゆる地域に携帯電話サービスを提供するための最初のスターリンク衛星を打ち上げたと発表した。2日に打ち上げられた21基のスターリンク衛星のうちの6基は、携帯電話にダイレクトに接続が可能だとスペースXは述べている。

同社の公式サイトによれば、これらの衛星はスペースXにとって初の「Direct to Cell(ダイレクト・トゥ・セル)」型と呼ばれる携帯電話と直接接続が可能な衛星で「宇宙における携帯基地局」として機能するよう設計されている。この衛星はまず、米国のスペースXの提携先のT-モバイルの通信サービスのテストに使用されるという。

この通信サービスは、すでに幅広く利用されている4G LTEに対応したスマートフォンで、特別な機器を必要とせず、利用可能になるという。

スターリンクは、今年後半にはこの技術を使ったテキスト・メッセージング・サービスを始動し、2025年にはより広範な音声やデータ、IoTサービスを展開する予定だと述べている。



マスクは衛星の打ち上げ成功を祝い、この衛星が「地球上のあらゆる場所でモバイルネットワークへの接続を可能にするものだ」と述べた。しかし、彼はこの技術には限界があると指摘した。「このソリューションは、携帯電話がつながらない地域にとってはすばらしいものだが、既存の地上のネットワークと比較すると、実質的な競争力はない」とマスクは述べ、広域に広がる帯域幅が比較的限定的であることを指摘した。

スターリンクはまた、このサービスのユーザーは「空が見えるところならどこでも」接続が可能だと述べている。

スターリンクは最終的にダイレクト・トゥ・セルのサービスを世界中の顧客に展開する計画で「顧客はシームレスな接続を維持できる」と述べている。同社は、米国のT-モバイルに加え、オーストラリアのOptus(オプタス)やカナダのRogers(ロジャース)、ニュージーランドのOne NZ(ワンエヌジー)、日本のKDDI、スイスのSalt(ソルト)、チリとペルーのEntel(エンテル)など、世界中の通信事業者との提携を発表している。これらのサービスがいつ展開されるのか、また、国内外での接続のスペックがどのようなものになるのかはまだ明かされていない。

スターリンクは、世界中のあらゆる場所に高速インターネットサービスを提供することを望んでおり、すでにその衛星を使って戦争に苦しむウクライナの人々をつないでいる。

マスクは、最終的に4万2000基の衛星を宇宙に送り込むと述べており、現状では1万2000基の衛星コンステレーションを目指していると報じられている。スターリンクの打ち上げデータを集計したレポートによると、2023年末までにすでに5000基以上が軌道に投入されている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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