著作権が切れたのは『蒸気船ウィリー』版のミッキーのみで、ディズニーがテレビ番組やテーマパークなどで現在使用しているミッキーマウスは対象とはならない。これは若干ややこしい状況であり、訴訟が起こることも予想できる。
このたび発表された作品で、最も話題を呼んだのは以下の2つだ。
・Nightmare Forge Games開発のホラーゲーム『Infestation 88』
(編集注:同作の発表後、88がネオナチに関連した数字であるという指摘が相次いだことを受け、タイトルは最終的に『Infestation: Origins』に変更された)
・Into Frame Productions製作のホラー映画『Mickey's Mousetrap』
パブリックドメイン化に向けて何カ月も前から製作されてきたこれらの作品の目的はもちろん、ソーシャルメディア上で嘲笑されることだ。これは、作品の認知度を上げる最良の方法となる。これとまったく同じことが、最近パブリックドメインとなった「くまのプーさん」を題材とした映画『プー あくまのくまさん』でも起こった。
連続殺人犯となったくまのプーさんを描いたこの映画は、批評家からは酷評されたが(批評サイト「ロッテン・トマト」での総合スコアはわずか3%だった)、10万ドル(約1400万円)の予算で約500万ドル(約7億円)を稼いだ。ミッキーマウスを題材にした低級ホラーゲーム・映画を作って数百万ドルを儲けられる可能性があるのなら、誰だってそれを検討するのではないだろうか。しかし、こうした下心が見え見えの手法は、もはや通用しないかもしれない。
また、こうしたプロジェクトはなぜホラーばかりなのかという疑問も投げかけられているが、それには理由がある。ゲームの場合「暗い場所で得体の知れないものに追いかけられる」というジャンルは最近、ネット上で流行っている。Twitchのストリーマーが、笑いを取るためにこのゲームをプレイし、ミッキーマウスに殺されて大声で叫ぶという光景は、容易に想像できる。
映画に関しては、ホラー作品はたとえ超低予算であっても大きな利益を生む可能性がある。必ずヒットするものではないが、比較的少ない費用で大きな注目を集められることから、最も理にかなったジャンルだ。
もちろん、私はこの記事を書いたことで、そうした狙いにまんまと引っかかった形となる。ただ、私は本記事で、こうした作品の裏にある意図を説明したかった。パブリックドメインの知的財産をこのように利用するやり方はこれまで成功している。気に食わない人がいるかもしれないが、ミッキーと『蒸気船ウィリー』でもおそらく成功するだろう。
(forbes.com 原文)