「Speed Ultra(スピード・ウルトラ)」を略して「SU7」と名づけられたこのEVの発売日や価格は明らかにされていない。同社は以前、EVを2024年前半に発売する計画であると述べていた。
雷は「自動車を作り始めてから3年がたち、私はこの事業がいかに大変であるかを思い知りました」としつつも、「しかし、今後15年から20年の努力を続けることで、シャオミを世界のトップ5に入るEV企業にすることを、私たちは目指しています」と語った。
シャオミによるEV発表は、2023年に最も期待されていた製品発表のひとつだった。雷は北京の中国国家会議センターに集まった満員の聴衆を前に、この新型車の特徴をいくつか説明した。
一度の満充電で走行可能な距離(航続距離)については具体的な数字を明らかにしなかったものの、搭載されるバッテリーは中国のBYDとコンテンポラリー・アンペレックス・テクノロジーズと共同開発したと説明。また、通常のEVなら暖房のため多くの電力を消費するような極寒の環境でも、航続距離を維持することができるとした。
シャオミは、SU7が先進技術を駆使したモーター、自動運転システム、バッテリー管理システムにおいて、テスラやポルシェの高級EVを凌駕すると主張している。
雷は12月25日、中国のソーシャルメディアであるWeibo(ウェイボー)に、SU7は「少し高い」と受け止められるかも知れないと投稿。SU7は、1回の充電で最大627kmの距離を走行可能なポルシェの純電気駆動スポーツカー「タイカン・ターボ」に性能面で匹敵し、テスラの「モデルS」と同様のインテリジェントな運転機能を搭載する予定だとし、「私たちは間違いなく人々の期待を超えるでしょう」と豪語した。
中国工業情報化部が11月に公開した出願書類によると、シャオミのEVは、パノラミックガラスルーフを備えた5人乗りのセダンになるようだ。同社の公式Weiboアカウントが12月28日に投稿した画像には、暗いガラスルーフを装備する鮮やかなブルーの車が写っている。さらに今回、グリーンとグレーの2色が公開された。
中国乗用車協会の推計によると、中国の新エネルギー車(EVのほか、プラグイン・ハイブリッド車や燃料電池車も含む)市場は、2024年に約20%成長し、1100万台に達すると予想されている。中国で販売される新車のおよそ3台に1台が電気で動くことになる計算だ。
この市場ではすでに、イーロン・マスク率いるテスラや、王伝福(ワン・チュアンフー)が設立したBYDを含む数十社のEVメーカーが熱い争いを繰り広げており、最近では互いにシェアを奪い合うために積極的な値下げに踏み切っている。
雷は、少なくとも自動運転機能に関しては、競合に負けない自信があると述べている。「自動運転技術は非常に速い速度で変化しており、後発には有利な点もあります。つまり、より高い出発点から取り組み、そこから発展させていくことができるというわけです」
(forbes.com 原文)