マヨネーズ工場の配管清掃などの際に、配管内に残ったマヨネーズを廃棄することになる。一度に出る量はそれほど多くないが、いくつもの工場で定期的に行っているので、まとまるとかなりになる。工場廃棄物の管理責任者で廃棄マヨネーズの再利用に取り組んでいた松原由紀氏は、油分を分離して工業用油として利用することを考えたが、手間がかかりすぎるので断念した。堆肥化するには、油や酢が多く含まれているため微生物による分解が難しい。
そのうち、工場から出るジャガイモの皮などを家畜の飼料に利用するキユーピーの「エコフィード」という取り組みに参加し養豚農家と話をするうちに、バイオガス発電に結びついた。養豚農家は廃棄物でバイオガスを作って発電する試みを行っていたが、養豚の廃棄物は組成の関係で発酵の効率が悪く苦労していた。そこで、マヨネーズを加えたらどうかというアイデアが涌いて出た。
そして、「仲間が心を込めて製造している姿を知っていたからこそ、無駄にしたくない」という松原氏のマヨネーズに対する思いが関係者に伝わり、着想から5年をかけて「マヨネーズ発電」が実現。現在は、五霞工場(茨城県)、中河原工場(東京都)、泉佐野工場(大阪府)、神戸工場(兵庫県)、グループ会社のケイパック(茨城県)でマヨネーズ発電が行われている。2022年度には通常の発電方法の場合と比較して約980トンの二酸化炭素排出量を削減できたということだ。
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