あるスタートアップが、「ストリーム」と呼ばれるビッグデータの処理手法で、Netflixのリコメンド機能や、LinkedInのサジェスト機能を支えている。その企業の名はConfluent社。この度、2,400万ドル(約30億円)の資金調達に成功した。
例えば、LinkedInの場合、毎日3,000億ものメッセージを処理している。Uberは、常時何千もの乗客と運転手をマッチングしている。Ciscoの場合は、何千もの交差点やそこを通過する車両の動向を解析している。
これらの企業は皆「ストリーム」を用いて、データ処理を行っている。この情報処理技術を用いれば、大量のフローデータの中で、関係するものだけをリアルタイムで処理可能だ。例えばNetflixではログイン直後にユーザーの利用履歴から、好みの映画をリコメンドしてくれる。
この技術の基となったオープンソーステクノロジー「Apache Kafka」は、LinkedIn出身のチームから生み出された。Confluent社は現在18名の社員を抱え、カリフォルニア州サニーベールに本拠を置く。既にLinkedInをはじめUberやCisco、Goldman Sachsといった大手企業にKafkaを提供し、彼らのデータ処理の考え方を変革しようとしている。
「ストリームデータ処理は、事業を根幹から変えるかもしれない。データ処理の重要性はどんどん増しているんだ」とCEOのJay Krepsは言う。
Confluentは、シリーズAでベンチャーキャピタル大手のBenchmarkから出資を受けた後、7月8日に発表されたシリーズBで、Index Venturesらから2,400万ドル(約30億円)を調達した。新しく経営陣に加わったIndex VenturesのMike Volpiは、「Confluentがウェブの世界の“配管工”として、最も魅力的で収益力の高い企業になる」と考えている。
「Kafkaは今日のデータストリーミングへの適用に最適だ。Kafkaが広く普及するのを見て、Confluentがソフトウェア企業の象徴的な存在になることを確信した」とVolpiはフォーブスの取材に応えた。
VolpiはCisco出身でElasticやHortonworksにも出資している投資家だ。Confluentはステルス状態から抜け出してわずか8ヶ月の企業だが、Kafkaの急速な普及を目の当たりにしたVolpiはその可能性に興奮し、シリーズBの資金調達を取り仕切ることにした。
資金の使途についてCEOのKrepsは、新オフィスへの移転費用の他、Kafkaを使いやすくするための新しい管理ツールの開発に回したいと述べている。従来のデータ解析のような、ストリームをモニタリングするための解析ツールも開発し、いずれはサブスクリプションモデルで収益をあげていく。
オープンソースのテクノロジーを提供するスタートアップには、急成長中のDockerなどがいるが、無料で使えるテクノロジーを大きな事業に育てることは容易でない。最初の課題は、なるべく多くのユーザーを獲得することだ。「Kafkaは、何年もの間格納されていたデータを解放してくれる。それだけでも十分エキサイティングなことだ」とKrepsは話した。