欧州

2023.12.27 09:30

ウクライナ、黒海で7隻目の大型軍艦爆破 「ロシア艦隊は小さくなる一方」

遠藤宗生

クリミア半島セバストポリに停泊するロシア黒海艦隊の大型揚陸艦「ノボチェルカスク」(StockphotoVideo / Shutterstock.com)

ウクライナ空軍は25日夜または26日未明、同国南部クリミア半島の南東部にあるフェオドシヤ港に空爆を行い、停泊していたロシア黒海艦隊の大型揚陸艦「ノボチェルカスク」を破壊したようだ。

ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻して以来、ウクライナ軍が破壊したロシアの大型軍艦はこれで7隻目だ。大型の軍艦を持たないウクライナとの1年10カ月に及ぶ激戦で、黒海艦隊は少なくとも巡洋艦1隻、水陸両用艦4隻、潜水艦1隻、補給艦1隻を損失。その他にも、哨戒艇や上陸用舟艇を数隻失っている。

ウクライナ空軍のミコラ・オレシチュク司令官は26日朝、フェオドシヤで夜間に起きた爆発の映像をソーシャルメディアで公開。「ロシア軍の艦隊は小さくなる一方だ」と書き込んだ

ウクライナは2022年4月にも海軍が巡洋艦モスクワをミサイルで撃沈させている。オレシチュクは今回のノボチェルカスク攻撃について「空軍のパイロットと関係者全員の細やかな働きに感謝する!」と労った。

ウクライナ空軍が持つ主要な対艦兵器は巡航ミサイルを搭載するスホーイSu-24爆撃機のみであることから、何が起こったかは明白だ。ウクライナ西部から発進して南東に向かった超音速機のスホーイから、巡航ミサイルが発射された。使われたミサイルは、英国製のストームシャドーかフランス製のスカルプEGだ。

重量約1.3トン、低高度で最長約250km飛ぶこれらの巡航ミサイルは、ロシア軍のほころびつつあるクリミアの防空網の中をGPSで誘導され、ノボチェルカスクめがけて進んだ。

どちらのミサイルも二重貫通弾頭(タンデム弾頭)を搭載しており、1つ目の弾頭は標的に穴を開け、2つ目は内部から爆破する。オレシチュクが公開した映像に映る巨大な二次爆発は、ミサイル着弾で全長約110mのノボチェルカスクに搭載されていた弾薬が爆発したことを強く示唆している。

オスロ大学で兵器の拡散を研究しているファビアン・ホフマンによると、「表面が硬い物を標的とするとき、ストームシャドーは非常に効果的な兵器」だという。スカルプも同様だ。
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翻訳=溝口慈子

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