2023年9月末時点のデータによると、観光客数全体で言えば、コロナ禍前の2019年対比6.5パーセント減とほぼ回復している。ただ、日本人観光客に限ると、まだコロナ禍前の半分にも到達していない。
ハワイ在住の筆者からすると、ワイキキやアラモアナ、カカアコなどで日本人カップルやファミリーの姿をよく目にするようになったなぁと微笑ましく見ていたが、実態はまだまだ、とても微笑ましいと言えるレベルではないようだ。
一方で、ビジネスでのハワイ進出や、インターンシップ、留学などの問い合わせや視察は確実に増えている。留学マーケットに関わる、ある会社の人間は次のように語る。
「ビジネスでの移住前にとりあえず語学学校に入学してF1ビザ(留学ビザ)を取得し長期滞在しながら現地を視察するなど、留学やインターンシップはハワイ進出やハワイ移住のゲートウェイになってきている。円安の影響で、語学留学は物価の安いカナダやオーストラリア、フィリピンに流れる傾向があったが、やはり米国、そしてハワイのブランドは強い。ここへきて着実に戻ってきている」
確かにホノルルで学校見学する日本人の親子の姿もちらほら見かけるようになった。
そんなハワイの留学マーケットで、この年末に気になるニュースが流れた。「長い歴史を持つ語学学校が廃校を決めたところ、通っていた生徒が買収して復活させた」というものだ。
学校を生徒が買う!? そんな劇的な展開がハワイで起こったことにまずは耳を疑った。しかし、取材を進めるとまさに真実らしく、さらに筆者の身近なところに当事者がいることがわかってきた。そこで今回は事実を確かめるべく本人に話を聞き、いち早くこのニュースの裏側をお届けしたい。
舞台はハワイ最古の語学学校
舞台となった語学学校は、アラモアナにある「アカデミア・ランゲージ・スクール(Academia Language School )」。開校は1969年で、実は「ハワイ初の語学学校」という顔を持つ歴史ある学校だ。以前から立地の便利さに加えて学費が比較的安く、かつ留学ビザでも週4日通学のコースがあるなど柔軟なカリキュラムも魅力で、現地では「ハワイ好きが集まる」という評判で留学マーケットでは不動の人気を誇っていた。