セールスフォースの試算では、11〜12月のホリデーシーズンにAIは世界のオンライン支出1940億ドル(約28億円)に貢献すると予想されている。消費者動向を追跡している同社によると、AIはサイバーウィーク(11月21〜27日までの7日間)のネット販売の51億ドル(7300億円)に貢献した。
セールスフォースの小売・消費財担当副社長兼ゼネラルマネージャーのロブ・ガーフは「(AIの活用は)まだ初期段階にある。小売企業は試行錯誤しており、現在の数字は将来の傾向を予測するための先行指標にすぎない」と話す。
ウォルマートやターゲット、ノードストロームなど米小売大手はすでにAIを活用している。AIはまた、贈り物のアイデアを練る際に活用されたり、一部の家電製品に機能として搭載されたりしている。
だが今のところ、AIは消費者にとって目新しくないかたちで使用されている。ほとんどの場合、現在使用されているAIアプリケーションの大半は、顧客が期待する買い物体験を小売業者がより効果的に提供するのに使われている。AIを活用することで得られる効果のほとんどは、買い物客がすでに知っている機能を通じてもたらされている。
時間を節約したり効率を向上させたりするツールとして、AIは小売業者を裏で支えている。例えば、もしあなたが地域の店舗で予期せず人気のおもちゃを見つけたとしたら、それはAIのおかげかもしれない。小売業者が顧客へのサービス提供やショッピング体験の合理化を容易に行うためのAI(およびChatGPT)の活用法としては、在庫の管理、目的に合ったマーケティングの電子メール作成、ウェブサイト向けの詳細な商品説明の作成などが挙げられる。
米小売各社がどのようにAIを活用しているかというと、ターゲットはAIを使って店舗ごとの需要を予想し、品切れとなる商品を予測することで、欠品となる前に従業員が商品を補充して売り逃しのリスクを回避できるようにしている。