ただし、発症する季節以外にもひとつ違いがある。春から秋までは、屋内にいれば花粉のような植物由来のアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)をある程度避けられるだろう。ところが冬季アレルギーの患者の場合、屋内にいるとむしろ症状が悪化してしまうおそれがあるのだ。
冬季アレルギーの原因
というのも、冬季アレルギーを引き起こすものは、自宅や職場、飲食店、各種施設など屋内に潜んでいることが多いからだ。冬も花が咲く場所に住んでいるのでもない限り、冬季アレルギーの原因は普通、屋外の植物ではない。冬季アレルギーの原因になるのはほこり、ダニやそのフン、カビ、ペットのフケやフン、寄生虫、ゴキブリやそのフン、ネズミやそのフンあるいはおしっこなどだ。これらのフンは目に見えないかもしれないが、いずれにせよありがたくないものなのだ。
アレルギーがあると、本来は自分の体に危険でない物質に免疫システムが反応する。ネズミのフンは進んで吸い込みたいものではないだろうが、人体に直接脅威になるものでもない。だから通常は、免疫システムはネズミのフンのようなものには反応しない。
どんな症状が出る?
しかし冬季アレルギーを発症すると、ネズミのフンやその他、屋内にあるアレルゲンが免疫システムを刺激し、涙目、目のかゆみ、鼻水、鼻づまり、後鼻漏(こうびろう)、くしゃみ、せき、皮膚の乾燥やかゆみ、発疹、ぜんそく、息切れといった典型的な季節性アレルギーの症状が表れる。こうした症状が冬に出ると、まず風邪や何かほかの呼吸器感染症かと思うかもしれない。実際のところ、症状が冬季アレルギーによるものなのか、それとも何かに感染したからなのかは判断がつきにくいことがある。自分ではアレルギーと思っていても実は感染症だったということもあり得るので、症状がある場合は念のため感染予防策をとるようにしたい。
症状が冬季アレルギーによるものかどうかを見極めるうえで重要なのは、それが続く期間だ。風邪なら症状は数日から1週間程度でおさまるだろうが、冬季アレルギーの場合はもっと長引く。屋内で過ごし、周りにアレルゲンが漂い続けている限り、ずっと症状に悩まされることになる。
ホコリやダニ、ネズミのフンなどは、おそらく年中身近にある。しかし、こうした屋内アレルゲンに対する免疫反応は、屋内で過ごす時間が長くなり、窓やドアを締めて換気が悪くなる冬に強くなることがある。
さらに、冬の屋内の空気は乾燥しがちでもある。外気が乾燥していて、多くの暖房機器はそれを加湿せずにそのまま利用するからだ。空気が乾燥すると、皮膚や呼吸器の膜も乾燥する。そして、乾燥した皮膚や膜は刺激やダメージに弱くなる。