同国の国会に当たる最高会議は第2読会で、医療用大麻の合法化に関する法案第7457号を全文採択した。賛成は248票だった。本法案は7月13日の第1回読会で承認されていた。
この法律は、医療用、産業用、研究用の大麻の流通を規制するもので、娯楽用の大麻は依然として違法となる。
本法案は昨年2月24日にロシアが同国に侵攻する以前に提出されていたが、戦争が国民や軍関係者にもたらした影響を受け、議会は本法案を迅速に検討することになった。ビクトル・リャシュコ保健相は、ロシアとの戦争が続く中、政府は医療用大麻の合法化法案を支持すると表明していた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6月、最高会議で演説し、ロシアの侵攻に抵抗する努力の影響を強調。こうした抵抗の結果、多数の死傷者が出て、町や社会基盤に大きな被害が出た。さらに、ウクライナ人の多くは目に見えない感情的・心理的な苦難を味わっている。多くの兵士や市民が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症。これはウクライナ侵攻のような衝撃的な出来事にさらされた後に発生しやすい症状だ。
こうした状況を踏まえ、ウクライナ政府はさまざまな科学的研究によって裏付けられた医療用大麻治療に潜在的な利点があると見ている。
今回採択された法律の下では、医療用大麻製品のサプライチェーン(供給網)全体が厳しく規制され、あらゆる段階で監視されることになる。大麻を原料とする医薬品を製造できるのは、医薬品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)証明書を持つ認可事業体のみで、国家警察が映像監視によって24時間365日体制で監視する。大麻の各株には追跡用のコードが与えられる。医療用大麻製品の入手には、個々の患者の必要性に合わせた電子処方箋が必要となる。
本法案は、特定の疾患に対する医療用大麻治療を患者が受けられるようにすることを目的としている。大麻処方の承認条件については、保健省がまとめることになる。