欧州

2023.12.25 13:30

ウクライナ、医療用大麻を合法化 戦時下のPTSDケア改善へ

最高会議医療委員会のミハイロ・ラドゥツキー委員長は、7月の時点で200万人以上の国民が医療用大麻製品の恩恵を受けられる可能性があり、ロシアとの紛争が精神衛生に与える影響により、その数は拡大するとの見方を示していた。

ウクライナの欧州連合(EU)統合委員会副委員長で欧州評議会議員会議(PACE)ウクライナ代表団を率いるマリヤ・メゼンツェワ議員は、投票前日の報道発表で、国民の70%以上が医療用大麻の合法化を支持していると説明していた。「今日は医療用大麻を含む医薬品を必要とする、さまざまな診断を受けた600万人以上の患者について議論する。そこには重病患者やがん患者、PTSDを患う一般市民や軍人、毎日それを必要とするわが国の英雄たちが含まれる」

大麻産業の初期段階の開発に特化した事業戦略を提供するグリーンライオンパートナーズのジェフリー・M・ザッカー共同設立者兼社長は、ウクライナ最高会議の投票結果について、単に大麻の入手を許可するだけでなく、深刻な心的外傷を受けた国民に希望と癒やしを与えるものだと評価。「それは思いやりであり、ウクライナの人々の苦しみを認識し、癒やしの道具を与えることだ。また、暗い時代にあっても、ウクライナは国民のために希望と科学を受け入れるのだということを世界に示すことでもある」と歓迎した。

ソマイ・ファーマシューティカルズを設立したマイケル・サッサーノ会長兼最高経営責任者(CEO)は、「ウクライナは間もなく、大麻合法化を柱とするドイツなどのEU諸国やその他の国々の仲間入りをする。大麻がPTSDに苦しむさまざまな人にどのような影響を与えるのか、臨床医も深く理解したいと考えている」と述べた。

インドアハーベストのレスリー・ボックソールCEO兼会長にとって、ウクライナの医療用大麻合法化は商機でもある。「これはウクライナが復興していく中で、心身の健康を得るための基本的な手法を確立する絶好の機会であり、欧米の企業にとっては、同国の市場で足がかりを築くための素晴らしい経済的機会だ」

だが、ウクライナ国外の企業がこの業界に参入する機会を得られるかどうかは、法律が施行されてみないと分からない。ウクライナの医療用大麻を解禁する法律は、公布から半年後に施行される。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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