食&酒

2024.01.06

魔法の数字「 3 」で構築されたパーフェクトバランスのシャンパーニュ

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は1月号(11月25日発売)より、「ロ ーラン・ペリエ グラン シエクル」。さまざまな畑、そして異なるヴィンテージをかけ合わせることでパーフェクトなバランスを生み出す1本だ。


3という数字はつくづく不思議だ。古くは紀元前6世紀、ピタゴラスは三平方の定理を発見。4000年前につくられた三角形のピラミッドは最もシンプルで美しい幾何学的な建築だ。そして三種の神器や三賢人などといわれるように3は歴史や宗教上でも重要な意味をもっている。そもそも3人という人数は最もミニマルな社会だと聞いたこともある。主体と客体、そしてもうひとり傍観者がいて初めてヒトは社会を形成できるのだそうだ。

そのミステリアスな数字、3のパワーをボトルいっぱいに蓄えているのがこの「ローラン・ペリエ グラン シエクル」だ。このシャンパーニュが生まれた1950年代の初頭には「プレステージクラスのシャンパーニュは単一ヴィンテージ(収穫年)のブドウでつくられるべき」という考え方が主流だったが、「ローラン・ペリエ」前当主であったベルナール ドゥ ノナンクールは「シャンパーニュの本質はアッサンブラージュ(ブレンド)にある」として、葡萄の品種はもちろん、さまざまな畑、そして異なるヴィンテージをかけ合わせることでパーフェクトなバランスを生み出すことに成功した。複数のヴィンテージというところで賢明なる読者の皆様はピンときただろう。鍵となるのは“3”だ。

「このNo.25には06年、07年、08年ヴィンテージのワインがアッサンブラージュされています。シャンパーニュの超優良なヴィンテージだったと言われる08年を骨格として、07年の心地よい酸、酷暑だった06年の熟成度がアクセントとなり、完璧なハーモニーを奏でていますね」と語るのは「蕎庵 三たて」(東京・麻布十番)でディレクターを務める市村暢央だ。

「そしてその味わいの核となっているのが、フレッシュ、ピュア、エレガンス。これはマルチヴィンテージが互いを補完し、高めあう『ローラン・ペリエ』のシャンパーニュのキャラクターを表現する上で、とても大切な3つの要素です」

そもそもこの「蕎庵 三たて」は、市村が蕎麦の繊細な味わいとシャンパーニュのマリアージュを追求したいと考え、オーナーであるマグロの仲買業者「やま幸」に提案したという経緯で昨年オープン。「蕎麦、まぐろ、シャンパーニュ」をメニューの三本柱としており、店名の由来は蕎麦の世界で重要とされる「挽きたて、打ちたて、茹でたて」で「三たて」である。神秘的な数、3のエネルギーで三位一体となった美味をぜひお試しいただきたい。

ローラン・ペリエ グラン シエクル


容量|750ml 
セパージュ|シャルドネ60%、 ピノ・ノワール40% 
価格|28500円 (税抜・参考小売価格) 
問い合わせ |サントリー https://www.suntory. co.jp/wine/special/ laurent_perrier/
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写真=菅野祐二 文・構成=秋山 都

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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