同社の破産管財人Teneo(テネオ)は電子メールで、裁判所が3ACの共同創設者であるスー・チューとカイル・デイビス、デイビスの妻ケリー・チェンに対し、資産の移動・売却を禁じる命令を出したと説明。3ACは債権者に対して約33億ドルの負債を抱えており、債権者側は、創業者らには今回凍結された資産と同じ額だけ3ACの財務状態を悪化させた責任があると主張しているという。
裁判所の命令について、テネオはフォーブスにこう述べている。「この命令は、創業者らが清算人による最終的な強制執行を頓挫させるような方法で資産を処分したり、他の方法で処理したりすることを防ぐために考案されたものだ。また、3ACの取引先や関連会社に対し、法的義務とリスクに関する明確なシグナルを送るものでもある」
昨年6月、バージン諸島の裁判所は3ACを債務超過と宣告し、資産の清算を命じた。同社は、昨年5月に暴落し、暗号資産市場から400億ドルを一掃したステーブルコイン「TerraUSD」のコンパニオン・トークンである「Luna(ルナ)」に2億ドルを投資していた。ルナの暴落は、ビットコインを含む他の主要な暗号資産の暴落を引き起こし、3ACの状況を悪化させた。同社を最終的に破綻に追い込んだのは、暗号資産ブローカーのボイジャー・デジタルが、同社に貸し出した3億5000万ドル相当のステーブルコイン「USDC」の返還を要求したことだった。
昨年9月にチューは、シンガポールを出国しようとした際に逮捕された。テネオはこれに先立ち、チューとデイビスが清算プロセスへの協力を拒否していると繰り返し訴えていた。チューは捜査当局に協力しなかったとして4カ月の実刑判決を受けたが、ブルームバーグによると、素行が善良であると評価され、今月中に釈放される見通しだ。
一方のデイビスは8月、シンガポールの裁判所に提出した書類で、米国の市民権を放棄したため、自身は米裁判所の管轄外となると主張した。デイビスは、二重国籍を認めていないシンガポールのパスポートを所持している。
(forbes.com 原文)