そうした情報の中でも最も驚きなのは、今年発売された『Marvel's Spider-Man 2』の開発費が3億ドル(約430億円)だったというものだ。これはとんでもない金額で、1作目の予算の3倍に当たる。『Spider-Man 2』はPlayStation独占タイトルとしては史上最速の売れ行きを記録したとされるが、それでも初動売上高では開発費を回収できなかった計算だ。こうしたゲームは長期にわたって売れ続けるものなので(前作の『Spider-Man』はPS4で最も売れた独占タイトルになった)、いずれは元が取れるだろう。ただこの状況からは、このモデルがいつまで続けられるのかという深刻な疑問が生じる。
流出文書で指摘されているポイントのひとつに、『Spider-Man 2』に前作の3倍のコストがかかっていることがプレイヤーにわかってもらえるかどうか、という疑念がある。同作は1作目よりも規模が大きく、複雑なミッションや主人公が2人という点では前作より少し拡張されているものの、1作目やスピンオフ作品からゲームプレイや街の大部分など、多くの要素が流用されている。それなのに、3倍のコストがかかったのは、いったいどういうことなのだろう?
同作は巨額を投じたおかげで、批評家からの総合評価である「メタスコア」がインソムニアック製ゲームとしては初の90点に達し、ファンからも好評を得たが、予算があまりにも膨れ上がると、いくら高評価を得たとしても、いずれは正当化できなくなる。もし、出来上がったゲームがいまいちのクオリティーで、大ヒットにはならなかったとしたら? これほどの予算を投じたゲームを作り続ければ、いつかは失敗し、会社に深刻な打撃をもたらす恐れがあることは想像に難くない。