これは、ロシアの産業がおそらく年間1500両程度の戦車を生産、または長期保管から回収しているとみられるためだ。ただし、スウェーデンのあるアナリストはロシアの戦車の生産はずっと少ないと考えている。
開戦前に比べて戦車の生産と近代化が大幅に強化されたことになるが、それでも旧ソ連時代の年間生産数にははるかに及ばない。2023年に毎月生じている損失を補填し、最終的に前年の損失を埋め合わせるだけの数だ。
最近のロシア軍全体の規模拡大に合わせて戦車部隊を増強することは、長期的なプロジェクトとなる。
冷戦時代の戦車がまだ何千両も保管されており、複数の車両工場が24時間体制で稼働しているため、ロシアはあと数年間は3000~4000両の戦車を持つ装甲部隊を維持できるはずだ。
戦場への投入数が増えているT-80やT-72、T-62などの古い戦車が、生産に時間がかかっている新型戦車T-90を補っているため、ロシア軍の戦車の「平均年齢」が上がり続けることは確かだ。だが、ロシアがウクライナに仕掛けたこの戦争では大砲やドローン、地雷が戦場を支配するようになっており、戦車の新旧はあまり重要ではなくなっている。
ロシア軍は、甚大な犠牲を出したいくつかの攻撃で、戦車による歩兵支援を行わなかった。これは、戦争を長期的に続けられるよう作戦を調整していることの表れだ。一方、ウクライナがこのような消耗戦を続けられるかは、はっきりしない。
ウクライナは資金と兵器を外国の同盟国に大きく頼っている。そして最大の同盟国である米国は政治危機の真っただ中にある。米国の共和党議員らは、ウクライナにさらにもう1年軍事支援を行うための610億ドル(約8兆7000億円)の予算案の承認を数カ月にわたり拒否している。
(forbes.com 原文)