アリババは、同社の総売上の約半分を生み出すTaobao Tmallコマース事業のトップを交代させる。同事業には淘宝網(タオバオ)や天猫(Tモール)などの中国Eコマース事業が含まれる。フォーブスが入手した社内メモによると、これまで同部門を率いてきた創業時からのメンバーであるトゥルーディー・ダイ(戴珊)の後任には、グループ全体のCEOを務めるエディ・ウー(呉泳銘)が就任する。ウーは、クラウド事業と通販部門のトップを兼任することになる。
この交代により、アリババはクラウドとEコマースに集中し、多額の投資を継続する。さらに、「ボトムアップ」からの必要な経験とスキルを身につけた新たなマネージャーを迎えることになると、社内メモには書かれている。
今年6月にアリババの会長に就任したジョセフ・ツァイ(蔡崇信)は、ウーが厳しいトレードオフを切り抜け、困難だが必要な決断を下したと述べている。
アリババの共同創業者のジャック・マー(馬雲)も先月末に、新たな変化を呼びかけていた。現在247億ドル(約3.5兆円)の資産を持ち中国6位の富豪であるマーは、2019年に執行会長を退任して以降は、同社の業務に携わっていないが、資産のほぼ3分の1をアリババの株式から得ている。
マーは、PDDホールディングスに中国で最も価値のあるEコマース企業の座を奪われたアリババが、「自らを修正しなければならない」と、別の社内メモで述べていた。2015年設立のPDDは、格安Eコマースアプリの「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」とその海外版の「Temu」で、中国だけでなく世界の消費者を魅了している。同社の創業者コリン・ファンは現在、推定529億ドル(約7.6兆円)の資産を持つ中国第2位の富豪だ。
アリババはまた、11月にクラウド部門の新規株式公開(IPO)を中止して、市場を驚かせた。同社は、3月に主要事業をクラウドや物流などの6つのグループに分割し、それぞれが独自に資金調達を行う計画を発表していた。Eコマース部門のトップにダイが任命されたのは、この計画が発表された直後のことだった。
メモによると、ダイの今後の役割は、グループの非中核資産の一部を保有する資産管理会社の設立を支援することになるという。
「今回の組織再編で、経営幹部は会社の将来にとって重要な事業に専念できる」と、アリババは自社のブログで述べている。同社は、今後の数年間で投下資本のリターンを2桁台に引き上げるという目標を掲げている。
(forbes.com 原文)