業界や業態の全く違う組織をつなぐ役割として、NPOの社会基盤強化と企業や行政とのパートナーシップ確立をめざしNPOを支援する、日本NPOセンターの三本裕子は、中間支援組織としての役割や現状について語る。
「メディアなどを通じて伝わるものではない、生の市民や現場の課題をNPOは知っています。課題ラボプロジェクトでは、現場からの社会課題を集めて、世の中やNPO同士で共有することで、誰かが解決できるのではないかという流れをつくっています。いま、日本でも世界でも営利と非営利の境目がぼやけているように感じます。むしろそれが多様な関わりや発見を生み、良い循環になると思っています。弱いつながりや白黒つけない関わりは生きていく上で、また社会を作る上でいま大事なんです」
組織と組織をつなぎ、新しい生態系や価値を生み出していく組織も、出島組織として重要な役割を果たしている。
倉成は最後にこう締めくくる。「日本が様々なジャンルで閉塞感を抱えているなかで、まずは小さく新しいことを生みだそうと出島組織で頑張っている方々は、日本の成長にとって大事な存在です。まだないものを日本から創り出すために出島組織同士で協力していけたらと思います。サミットで出会った出島組織がお互いにオフィスなどに訪問しあうなど積極的に交流を続けてもらえたら嬉しいです」
もはやこれまでの日本的な大企業の意思決定スピードでは環境変化に置いていかれてしまう。出島組織で新しいビジネスの「小さな芽」を作ることが大切になってきている。そしてそれを大きく育てるためには、大企業本体のアセットを活用したり、自社以外の組織と連携しスケールたりすることが必要だ。今回出会った出島組織の人々は、所属からはみ出して変化を求め、組織や社会を良くしたいという強い熱意があった。出島組織こそが日本の組織、そして日本経済活性化の鍵なのかもしれない。