ONE CAREER PLUSの特徴は、新卒向けサイトから同社が蓄積してきた、リアルなキャリアのデータベースだ。ユニークなのは「転職体験談」「選考体験談」。特に「転職体験談」は、「どんな人が/どこの企業・職種から/どこの企業・職種に転職したのか?」という事例が5,000件以上も蓄積されているという。そこに含まれる内容は、ユーザーの前職や年次、役職など解像度も高い。
そして、このデータを下地にユーザーを直に支えていくのが「キャリアアナリスト」という専門家の存在だ。単に次の転職先だけを検討するのでなく、集まったキャリアデータをもとに中長期的な視点でキャリアを俯瞰し、次のポイントの打ち方を提案する。
「ONE CAREER PLUSの大きな特徴は、過去に他媒体では公開してこなかったユーザーのキャリアパスを全て公開していること、そして、そのデータ分析をキャリアアナリストと呼ばれる専門家が進めていることです。私たちは、エンドユーザーである転職者が他人のキャリアパスを知ることができたら、視野が拡大し、能動的にキャリアを築いていくヒントになると考えました。そうして価値を感じたユーザーが集まれば、次に採用したい企業が集まります。つまり、採用したい企業をメインに据えた人材サービスとするのではなく、まずはエンドユーザーへの価値提供にフォーカスを当てているところが、ONE CAREER PLUSのオリジナリティです」(佐賀)
自身のキャリアについて検討するタイミングは、必ずしもいままさに転職をしようとしているタイミングだけとは限らない。先を見据えながら自らキャリアを選択していくために、常に情報収集しておくことも重要だ。ユーザーのキャリアリテラシーが高まることで、企業サイドも自社が提供できる成長機会やキャリアパスについて考え直すなど、いい影響があるのではないかと、石川が続ける。
「そのために、いままで見えてこなかった情報や得られなかったナレッジを体系化して伝えていきたいと考えています。そうして一人ひとりが自分のキャリアを自分で築ける状態が、社会の好循環につながるはずです」(石川)
人材マーケットを熟知したキャリアアナリストが
中長期的に満足できるキャリアへと導く
ONE CAREER PLUSのキャリアアナリストは、日頃からデータ分析や勉強会、企業や求職者との面談などを行い、最新の人材マーケットの知識を携えている。その視点から、一人ひとりのビジョンに合わせて、中長期的な視点を持って次の転職の意思決定を支援する。「今後、転職者数そのものは増えていくと思います。一方で、求職者は比較的簡単に転職できて、企業は足元の人材獲得のために奔走するという構造になると、中長期のキャリアのすり合わせができぬまま転職が実現してしまい、両者の満足度が下がってしまうのは目に見えています。そこで考えたいのは、求職者側のネクストキャリアの目的や、その目的に対して自分は何年間を費やせるのか、といったビジョン。これらがクリアな人なら、その会社で働く意味づけも明確になり、結果ミスマッチも減るはず。一方で、目的のない転職をしてしまった場合、転職してもキャリアが前に進んでいないと感じる、キャリアの足踏みのような状態に陥る危険性があります」(石川)
変わりゆく社会のなかで望ましいキャリアを手に入れるには、求職者側もリテラシーを上げていく必要がある。これまで企業が握ってきたキャリアのオーナーシップの所在も、いまは個人にある。
「日々マーケットやトレンドが変わる、まさに“大転職時代”です。過去の転職にはネガティブな理由も多かったですが、いまは自分が描く未来をつくるためのポジティブな転職が増えている印象があります。その意味で、転職というのは、投資と同じように考えることができるのではないでしょうか。自分のいまの時間をどこの・どんな環境に置いておけば、いい成長曲線を描いてくれるのか、と考えることが、成功のカギとなります」(佐賀)
大事なのは人材マーケットのトレンドだけでなく
市場トレンドとその実情を分析する力
多くの場合、市場観点で見た自分の価値や、他社へのスキル転用の可能性を見極めるのは困難だ。だからこそ、キャリアデータを研究しているキャリアアナリストに介在価値がある。ではキャリアアナリストから見て、いま注目の転職マーケットはどの業界なのか。「大枠のトレンドは、コロナ禍から活発化したDXが起点の分野です。その背景にはまず、国の推進があったことが挙げられるでしょう。国が旗を振った結果、『これは解決必須の課題だ』と認識して推進した企業が増えました。このように、まずは国や企業による市場の変化が生まれ、人材マーケットのトレンドはそのあとにやってくる、という流れが常です。さらに言えば、求職者の人気がそのトレンドに追いつくまでにも、タイムラグがあります」(佐賀)
そうしたマーケットの実情に加えて、需要の高まる職種についての理解も必要だと、石川が続ける。
「たとえばいま人気の職種はBizDevと呼ばれる事業開発系ですが、ひと口に事業開発といっても、仕事の中身は事業開発営業やプロダクト開発など、多岐にわたります。トレンド職種を解像度高く理解したうえで、事業開発そのものの深度を深め事業を興すエキスパートになるのか、それとも営業などこれまで培ってきた職種スキルに事業開発要素を掛け算するのかなど、多角的に考えられたら、選択肢も広がると思います」(石川)
↓ ONE CAREER PLUSでは業種理解を深める情報も発信中 ↓
また、ワンキャリアのミッションは「人の数だけ、キャリアをつくる。」ことだと、ふたりは口をそろえる。そのため、佐賀は「私たちのミッションは、求職者の皆さんが自分らしい生き方を実現するために支援をすることであり、ご自身では見えないような詳細なキャリアのひも解きも一緒に行わせていただいています」という。
「ある大企業に所属していた求職者さんから相談を受けたときのことです。資本力を活かした大きな仕事のご経験をたくさんお持ちで、次は事業開発の仕事がしたいと志望されていました。しかしいざ選考に進むと、結局は所属していた企業のネームバリューによって生まれた実績が多いのではないかと、“お見送り”をされることが多かったそうです。
そうしたなかで私どものところにご相談に来てくださったのですが、一緒にキャリアをひも解くと、実際には、決裁者の意思決定を促すために、さまざまな仕事を積み重ねてこられたことがわかりました。そのプロジェクトマネジメント力をアピールしたところ、企業の反応も変わり、無事に就職が決まったのです。その方は、いまでも『人生が変わりました』と楽しんで仕事をされています」(佐賀)
キャリアパスの具体例を知り
一人ひとりの可能性を切り開いていく
こうした市場トレンドに対して、キャリアアナリストはどのような強みを活かし、ONE CAREER PLUSのエンドユーザーである求職者たちへのアドバイスを行うのか。
「私たちの強みは3つあると考えます。ひとつは『マーケット理解』。例えば人気が根強いコンサルティング業界ですが、ファームごとの特徴、例えばワンプール制なのかインダストリー制なのかによって個人のキャリアにもたらす影響は大きく変わりますし、キャリア採用の門戸が広がる中で各ファームの傾向を理解することは非常に重要です。キャリアアナリストは、詳細なマーケット理解をもとに個人の中長期のキャリアに対する意味合いをアドバイスします。2つ目は『キャリアの翻訳』。先ほど話したように、自分ひとりでは価値判断の難しい求職者の経験を、市場価値としてどう解釈できるのか翻訳することです。最後に『求人理解』。企業×職種の粒度で深い理解があるため、今後の事業成長方針を踏まえて当該職種で見込まれる成長や、直近の求人動向を踏まえた求められる人材像など、求人票の裏側にある情報まで求職者にお伝えすることができます。」(石川)
転職は、いまより豊かな自分を生きるための選択手段へと変化している。一人でそれと向き合うのはつい近視眼的になりがちだが、キャリアアナリストのような専門家がいれば心強い。
「私たちは企業が出す表面的な求人情報をもとに、そのときの転職だけをサポートするわけではありません。求職者の方の、次の、またその次のキャリアまで見越して寄り添っていきます。ぜひ、その分析、データも参考にしながら、自身のキャリアプランを見つめ直すきっかけにしてほしいですね」(佐賀)
ONE CAREER PLUS
https://plus.onecareer.jp/
さが・しゅんいちろう◎ワンキャリア ONE CAREER PLUS事業部/キャリアアナリスト。新卒でビズリーチ (現Visional)に入社。クライアント企業を採用成功に導くコンサルティング業務に従事した後、同社にて人事採用業務を経験。その後、ワンキャリアに転職。現在は、ONE CAREER PLUSの事業開発・キャリアアナリストとして活躍中。
いしかわ・ひろか◎ワンキャリア 社長室/新潟県出身。京都大学法学部卒業。2019年に新卒でMcKinsey & Company Inc.に入社。2022年にワンキャリア社長室に参画。現在はONE CAREER PLUSのブランドマネージャー兼事業企画を務める。