起業家

2024.01.04

誰かがやらなければ。アフリカの貧困問題を解決

牧浦土雅 Degas代表

「誰かがやらなきゃいけないからやるみたいな、そんな感じです」

牧浦土雅は2018年、アフリカの貧困問題の解決に取り組むため、ガーナでDegas(デガス)を起業した。小規模農家の生活を根本から変えようと、農業資材の融資と営農指導を行い、生産性と所得を向上している。農家には収穫物で返済してもらい、それを大手食品メーカーなどに販売することによって、収益を得る事業モデルだ。

ユニークなのが、与信判断。各農家と農地のデータを機械学習で解析して算出した収穫量予測、過去の返済率などの定量面に加え、営農指導セミナーへの出席率や、種まきの間隔など独自データで判断する。データドリブンなオペレーションで融資先を拡大し、23年度の農家数は2.6万軒にのぼる。

高校の外部活動でインドを訪れたのを機に途上国に興味を持ち、大学進学前のギャップイヤーでは、途上国の教育格差解消を目指すNPO「e-Education」に参加。ルワンダ支部の代表として教育プロジェクトを推進した。その後、5年ぶりに同地を訪れた際に、都市部の著しい発展に比べて貧困から抜け出せていない農村の現状を目の当たりにした。

その経験からデガスを起業。「国際機関ではなく民間企業であれば、継続的に農家の所得を上げるお手伝いができる」と考えた。23年1月には総額約10億円の資金調達を実施し、脱炭素事業にも進出している。


まきうら・どが◎1993年生まれ。ガーナ在住。2018年にサブサハラ・アフリカ6億人の小規模農家の所得向上を目指すDegasを創業。累計4万6000軒の小規模農家にファイナンスを提供し、サステナブル農業をアフリカ最大規模で推進。JAHQCC代表。

文=フォーブス ジャパン編集部 写真=小田駿一

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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