欧州

2023.12.19 18:45

アイスランド南西部の町近郊で火山噴火、地熱発電所まで数キロ

アイスランド南西部レイキャネス半島の火山が噴火。噴火地点は漁師町グリンダビーク北郊で、近くに地熱発電所がある(Micah Garen/Getty Images)

アイスランド南西部レイキャネス半島の火山が噴火。噴火地点は漁師町グリンダビーク北郊で、近くに地熱発電所がある(Micah Garen/Getty Images)

北欧アイスランド南西部の漁師町グリンダビーク近くで18日、火山が噴火した。周辺では群発地震が1カ月以上続いており、住民が避難していた。世界的に有名な露天温泉ブルーラグーンは再び閉鎖された。

アイスランドの気象当局によると、噴火は現地時間午後10時17分にグリンダビークの北東およそ4キロの地点で始まった。グリンダビークには約3600人が暮らすが、マグマの通り道(マグマトンネル)が町の真下まで伸びていると当局が判断したことから、住民は先月中に避難を済ませていた。

アイスランド大学の火山学者トルバルドゥル・トールダルソンは、噴火地点から数キロの距離にある地熱発電所が危険にさらされていると米紙ニューヨーク・タイムズに語っている。

アイスランド国営放送(RUV)によると、溶岩が噴出している地割れは約4キロにわたっており、今後グリンダビーク方面に伸びる可能性がある。

複数の動画配信サービスが噴火をリアルタイム中継しており、地面の亀裂に沿って細長く噴火活動が起きているのが確認できる。

アイスランドの気象当局は、38日間にわたり群発地震の監視を続け、先月中旬から噴火への警戒を強めていた。

アイスランド南西部では先月、24時間に1000回を超える群発地震が観測され、当局は噴火の危険が迫っていると判断。政府の防災責任者ビージル・レイニソンは先月の記者会見で、グリンダビークを溶岩流から守る防御壁の構築を検討していると述べていた。噴火を受け、避難中の住民の帰宅は数カ月先になる恐れがある。

アイスランドには多くの活火山があり、噴火は珍しくない。アイスランド島は2つのプレートにまたがって位置し、両側に引っ張られているため、プレートの境界でマグマが地表に向かって上昇し、火山噴火が起きる。2010年にアイスランドで起きた噴火では、大気中に大量の火山灰が噴出され、欧州全土で航空便のキャンセルが相次いだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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