WOMEN

2024.01.11 14:00

「なぜ女性社員を増やす必要があるのか?」コカ•コーラ ボトラーズジャパン管理職260人の真剣対話

人材開発部部長の木下梨紗。 AIGグループやThe Walt Disney Company Japanなどを経て、20 年9月入社。現在は人材組織開発、採用、D&Iを担当する。

人材開発部部長の木下梨紗。 AIGグループやThe Walt Disney Company Japanなどを経て、20 年9月入社。現在は人材組織開発、採用、D&Iを担当する。

コカ・コーラ社製品の日本における製造・販売・リサイクルなどを担う、コカ・コーラ ボトラーズジャパン。
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「体力仕事は女性には不向き」「夜勤のある職場で女性に管理職は務まらない」。そんな従業員たちの思い込みに、260人の管理職が真剣に向き合った。対話を重ねた先に生まれた“予想外の効果”とは──。

男性管理職(自販機部門)92%の意識改革に成功し、Forebs JAPAN「WOMEN AWARD 2023」でポジティブアクション賞を受賞した同社の取り組みを紹介しよう。


「人数が少ない女性管理職は、いるはずなのにほとんど会うことのない『まぼろし』のような存在。そんななかで、どうしたら男性社員に女性活躍の必要性を見出してもらえるか」

人材開発部部長の木下梨紗は、2020年から一歩ずつ進めてきた意識改革の課題についてこう話す。
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コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、18年に国内12ボトラー社が統合して設立された新組織だ。夜勤や重量のある製品運搬を主業務とするため女性社員や管理職の比率は低かった。

そこで20年に、女性管理職比率の引き上げを経営戦略目標に掲げ、施策を実施。その結果、女性管理職比率は、18年の3.7%から7.2%(23年2月時点)にアップした。

木下たちが重視するのは、対話だ。それまで男性管理職にとって考える機会が少なかった「女性社員にとっての働きやすさ」を意識してもらうこと。それが、「女性だけでなく、社員全員が働きやすい環境になり、多様な価値観のあり方につながる。そう言い続けています」。

女性役員を輩出するための取り組みにも余念がない。女性部長職を対象に、将来の取締役候補者を育成する「スポンサーシップ・プログラム」では現役の役員とペアになり、毎月1回、1年間の1on1ミーティングを通じて、経営陣としての高い視座・広い視野の獲得を目指す。2年間で11人が参加し、23年には役員1人が誕生した。
女性課長候補者を育成する「Female Leadership Program」、女性部門長候補者を育成する「Accelerate Her」など、いくつもの女性活躍支援施策を実施。一歩ずつ、意識変革を進めていく。

女性課長候補者を育成する「Female Leadership Program」、女性部門長候補者を育成する「Accelerate Her」など、いくつもの女性活躍支援施策を実施。一歩ずつ、意識変革を進めていく。

施策は好調に進んだが、「本社と支社の間には、まだ温度差があった」と木下は言う。

特に自動販売機部門では、体力の有無が業績につながりやすく、求める人材像も「力のある男性」というイメージが強かった。そのため「なぜ女性社員や管理職を増やさないといけないのか」という声も。

こうした男性社員の「無意識のバイアス」に対し、「現場レベルで対話をしないと変わらない」と、22年8月、同部門の管理職260人を集め「意識改革セッション」を実施した。

今後は人口減少に伴い働き手も減る。力仕事は男性が担う、というこれまでのやり方では成り立たない。そんな切り口から女性社員活躍と、「視点を変えること」への意識を共有した。

例えば、販売機補充の仕事も、女性には難しいとあきらめず、「体力がなくてもできる方法を考える。背が届かないなら踏み台を導入するなど簡単な案を試すだけで、女性だけでなく体力のない男性、高齢者にもできる業務になる」。

1年後には、女性マネジャーが誕生。数字以上に、女性に配慮した施策が、性別、年齢問わず、やりたい人に開かれた職場環境づくりへとつながったことが成果だ。

「一歩を踏み出したが、本番はこれからだ。女性が継続的に入社し定着する仕組みをつくりたい」


コカ・コーラ ボトラーズジャパン◎2017年、コカ・コーライーストジャパンとコカ・コーラウエストが経営統合して誕生。「すべての人にハッピーなひとときをお届けし、価値を創造する」というミッションを掲げ、清涼飲料水の製造・販売などを行う。代表取締役社長はカリン・ドラガン。従業員数は約1万5000人で、うち女性管理職は約120人。

文=中沢弘子 写真=若原瑞昌

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