多くの場合、サブブランドはメインブランドの弟分であり、当然ながら端末の性能はメインブランドに劣る場合が多い。しかし、iQOOは例外だ。過去にもVivoを見劣りさせかねないスマートフォンを出していたが、今月リリースした新製品でついに立場が逆転したかもしれない。
「iQOO 12」の価格は約650ドル(約9万2000円)だが、スペックはプレミアム端末に引けを取らない。プロセッサはクアルコムの最新チップセット「Snapdragon 8 Gen 3」で、Vivoの次期フラッグシップ端末「X100 Pro」を上回っている(X100 Proは、クアルコムより評価が落ちるチップメーカーであるMediatekの最新チップを採用している)。また、ディスプレイのリフレッシュレートも、iQOO 12は144Hzと、Vivoのフラッグシップモデルの120Hzより高い。サブブランドがメインブランドを性能で上回ることは、モバイル業界では非常に珍しいことだ。
筆者は、iQOO 12とX100 Proの両方を試してみた。Vivo X100 Proは洗練されたズームカメラシステムを搭載しているが、大多数の人にとってはiQOO 12の方がお買い得だろう。それどころか、650ドルという価格を考えると、iQOO 12は現在最もお買い得なスマートフォンだと言っても過言でない(Snapdragon 8 Gen 3は、米国では1月にリリースされるサムスンのギャラクシーSシリーズのフラッグシップ機でデビューするが、端末価格は900ドルを大きく超える)。
インド市場を意識
筆者は、iQOOの海外マーケティング責任者であるトーレス・ジョウに同社のブランドの戦略について話を聞くことができた。ジョウは2015年にVivoに入社し、インドでの事業立ち上げを成功させた経歴を持つ。彼は2022年にiQOOに移籍し、引き続き海外マーケティングを担当している。「東南アジアでVivoブランドを立ち上げて学んだのは、この地域の消費者がモバイルゲームを楽しんでいるということだ。そのため、iQOOのスマートフォンはゲームに重点を置いた」とジョウは話す。クアルコムの最新チップセットを採用したのも、そうした理由からだ。iQOO 12は、中国以外で発売されるスマートフォンとしては初めてSnapdragon 8 Gen 3を採用し、大容量バッテリーも搭載している。