海外

2023.12.29 12:00

女性を守る「手りゅう弾型アラーム」 爆音で犯罪者を撃退

遠藤宗生

手りゅう弾型防犯アラームを手にするFlamAidの創業者で最高経営責任者(CEO)のジュリエッタ・ルエフ(c)JOHN KOETSIER

世界保健機関(WHO)の統計によると、世界の女性の3人に1人が身体的もしくは性的な暴行を受けた経験を持つという。そんな現状に終止符を打とうとしているのが、110デシベルの警報音で犯罪者を追い払い、緊急通報を行う手りゅう弾型の防犯アラーム「FlamAid」だ。
 
「私の目標は、すべての女性が安全に家に帰れるようにすることです」と、スペイン・バルセロナを拠点とするスタートアップ企業FlamAidの創業者で最高経営責任者(CEO)のジュリエッタ・ルエフは話す。「私は、とても恐ろしい状況に直面した経験を持つ女性の一人です。その時は、自分がまったく無力だと感じました」
 


40ドルで販売される手りゅう弾型アラームのFlamAidは、財布やカバンに留めたり、ポケット入れて持ち運ぶことが可能だ。ピンを引くと、大音量のアラームが鳴り響く。月額7ドルの通信契約を行えば緊急通報を発信し、最大3人の友人や家族に位置情報つきのSMSメッセージを送信する。ボディの色は白だが、複数の色のスキンが用意されている。
 
しかし、ここで気になるのは、なぜ手りゅう弾の形なのかだ。ポルトガルの首都リスボンで開催されたウェブサミットで、このデバイスを展示していたルエフは、「これは主張なのです」と言った。「ほとんどの護身用ガジェットは隠されていますが、私は助けが欲しいときに隠れているのは嫌なんです」
 
とは言うものの、このデバイスは飛行機に乗るときにも使えるように、本物の手りゅう弾のようには見えないデザインだ。さらに、柔らかなシリコン素材で覆われていて、手にフィットしやすく、重量も軽い。音を止めるには、専用アプリを起動してオフにする必要がある。
 
ルエフは、長期的な計画として、このデバイスが警報を発した場所の位置データを収集し、危険地帯を表示するマップを作成しようとしている。
 
筆者は、フェイスブックで友人の女性たちに対し、自分ならこのデバイスを使うか聞いてみた。ある人は「娘が夜間に外出する際に持たせたい」と返信。一方で、手りゅう弾の形は少しやりすぎだと言う人もいたが、逆にもっと過激な方がいいという人もいた。
 
ルエフによると、このデバイスは既に大手の警備会社から予約注文を受けており、事業拡大のための資金調達も準備中という。「現時点では、女性をターゲットに見据えていますが、将来的には子供や老人など、他の顧客層にも広げていく計画です」と彼女は語った。
 
forbes.com 原文

編集=上田裕資

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