ジオフェンス令状とは、州や連邦当局がグーグルに対し、特定のロケーション内に居た全ユーザーの情報を提出するよう強制することができる、物議を醸す法的手段だ。
ジオフェンス令状(逆ロケーション検索とも呼ばれる)は、犯罪現場の周辺に偶然居合わせたすべての人を巻き込む可能性がある強制措置であり、これを非難してきたプライバシー擁護団体や人権団体は、今回のグーグルの決定を称賛している。
アメリカ自由人権協会(ACLC)のジェニファー・グラニック弁護士は、フォーブスの取材に、「今回のグーグルの決定は、プライバシー保護の観点から非常に有益なことだ」と語った。
今回の変更によって、政府が特定のユーザーのアカウント情報の提出を強制できなくなる訳ではない。しかし、これまでのように捜査当局がグーグルに対して、特定のロケーション内に居た全ユーザーのデータを提供するよう強制することは不可能になった。
今年春、カリフォルニア州議会の議員らは、カリフォルニアを拠点とする企業(特にグーグル)がこのような裁判所命令に従うことを非合法化する法案を提案した。この法案は州議会で可決されなかったが、グーグルは今回の措置でジオフェンス令状を無効にした。
グーグルが受け取ったジオフェンス令状の数は、2018年末から2019年末にかけて3倍に増加し、1四半期で3000件に達していたとされる。この令状は、2021年1月6日に米国議会議事堂を襲撃した人々の特定や、警官が黒人男性のジェイコブ・ブレイクを銃撃したことを受けて発生した2020年のケノーシャ暴動に関与した人物の特定にも使われた。
カリフォルニア大学バークレー校の法学教授であるオリン・カーは、13日にX(旧ツイッター)の投稿で、ジオフェンス令状は、「このツールが存在しなければ迷宮入りしていた重大な事件の数々を解決した」と述べ、法執行機関がこの手法を捜査に用いたことに一定の理解を示している。
しかし、それと同時にカー教授は、グーグルがデータを保持することに経済的な価値を見い出せず、プライバシー論争に巻き込まれることの負担を考慮した結果、それを廃止したのも理解できると述べている。
(forbes.com 原文)