エストニア国防省によると、ウクライナ軍の地上兵力は2022年に15万人から70万人超に拡大した。だが、22カ月にわたる戦争で、ウクライナ軍の人的損失も20万人近くにのぼるとされる。
エストニア国防省は「経験豊富な将兵の損耗が大きかった」と指摘している。経験豊富な参謀将校があまりに少ないために、ウクライナ軍は複雑な作戦を組織することができなくなっている。
「(ウクライナ軍では)旅団による攻撃作戦の有効な統制範囲がほぼ2個中隊になっている」とエストニア国防省は説明している。「その結果、(ウクライナ軍が)計画し、実行する作戦の範囲はおよそ1200mに限定されている」という。
ロシアが2022年2月にウクライナに全面侵攻して以来、ウクライナの支援諸国はウクライナ軍の人員10万人以上を訓練してきた。とはいえ、ウクライナ人訓練生の標準的な訓練コースはたった5週間だ。米陸軍の新兵の基礎的な訓練コースは倍の10週間であり、新兵はその後、それぞれの兵科の訓練をさらに数カ月受ける。
エストニア国防省は、ウクライナの志願兵や徴集兵の訓練に関して「われわれは新たな目標とペース、質の基準を設けるときだ」と提言している。ウクライナ軍の旅団がまさしく旅団規模で戦えるように、参謀将校向けの10週間の集中訓練コースも設けるべきだ。
ロシア軍の人員を、十分な訓練を受けた補充の投入以上のペースで損耗させる。それと並行して、ウクライナ軍の人員の訓練を強化していく。そうすることで、ウクライナは2024年の消耗戦に勝ち、2025年の反転攻勢の成功に向けた条件を整えることができるだろう。
そのためには、ウクライナと支援諸国に忍耐力が求められる。ロシアは敵側に忍耐力があるとは考えていない。「ロシアの政権はわれわれよりも決意が固いと依然として確信しており、ウクライナと欧米共同体に粘り勝つことができるとなお信じている」とエストニア国防省は述べている。
「われわれは意志の戦いのさなかにある」とエストニア国防省は続けている。意志がある限り、ウクライナの勝利に向けた道ははっきり見えている。来年、ロシア軍に10万人の死傷者を出させ、ロシア軍の崩壊を待つことである。
(forbes.com 原文)