食&酒

2023.12.26 15:00

ワインの飲み頃はいつ? 「熟成させれば良くなる」は根拠薄く

遠藤宗生

開栓したボトルの口に取り付けるプリザーバーは、栓を開けたものの食事中に飲み終わらなかったボトルから空気を排出するための小さな用具だが、正直、実際の効果のほどはわからない。筆者は10ドル(約1400円)ほどで買ったものを1つ持っているが、いずれにせよ、プリザーバーは開栓してから数日以上ワインを保存するためのものではない。

では、購入したワインがうまく熟成するのか、あるいはそもそも熟成が必要なのか、どうすればわかるのだろうか。ワイン専門のメディアは、米カリフォルニア州ソノマバレーのピノ・ノワールはボトルで5~10年熟成させる必要があると主張しているが、それを検証する確実な方法はない。それが分かるのは、さらなる熟成が必要であることが毎年確認されてきた長い伝統を持つワインのみだ。

問題は、プロによるテイスティングが、瓶詰めされる前の樽に入っている状態で行われることが多いことだ。1000ドル(約14万円)以上で売られているシャトー・マルゴー2020(2021はまだ販売されていない)のようなワインを、20年間にわたり毎年ボトルを開けて熟成具合を確認するような人はほとんどいない。

熟成のピークの予測は役に立たないことがよく知られている。有名な伊ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの1997年ものなど、一定期間熟成させないと味が平坦でまとまりがなくなってしまうものもあるが、その飲み頃を予測できる人はいない。こうしたワインの多くは、数年後も素晴らしい味だった。

原則として、1本1000ドルするワインがつかの間の楽しみであるようなよほど裕福な人でない限り、ワインは買ってから1、2年以内に飲むのがベストだ。これは生産者が望んでいることであり、そうすれば生産者はさらに多くのワインを店頭に出荷できる。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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