現在「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」の名で開催されているシリーズを運営する日本レースプロモーション(JRP)はその大きな節目で、次の50年に向けた「SF NEXT50(ネクスト ゴー)」プロジェクトを立ち上げ、昨年4月から新会長に就任した近藤真彦氏も加わって、いよいよ主要施策が実践段階に入っている。
近年、様々なスポーツ団体が「改革」に挑んでいるが、スーパーフォーミュラが目指すところは何なのか──?
自動車業界の大変革期のなかでSF NEXT50誕生
このスーパーフォーミュラを観たことがない、ご存じないという方もいらっしゃることだろう。F1同様、レース専用に設計されたフォーミュラカーで争うシリーズで、1973年に全日本F2000選手権として誕生し、その後F2(1978年〜)、F3000(1987年〜)、フォーミュラ・ニッポン(1996年〜)、スーパーフォーミュラ(2013年〜)と車両規則や名称を変えながら、現在に至っている。
中嶋悟氏、鈴木亜久里氏、片山右京氏やミハエル・シューマッハ氏、近年では佐藤琢磨選手、小林可夢偉選手といった世界的ドライバーを輩出してきた。
シリーズの運営は、1995年にフジテレビと鈴鹿サーキットランド(現ホンダモビリティランド)、中嶋悟氏(JRP前会長)等が主導して株式会社として設立された、JRPが統括してきた。スピードでF1に次ぐカテゴリーであり、国際的にも高い評価を得てきたが、興行面ではバブル崩壊後の低迷から長く抜け出せずにいた。
そこにコロナ禍。JRP代表取締役社長の上野禎久氏は「本当に次の50年も存続していけるだろうか、と危機感を感じた」と語る。また、自動車産業自体も、カーボンニュートラル(以下CN)対応など、100年に一度の大変革期を迎えている。
そうした状況から、「業界を取り巻く厳しい環境変化に対応し、サステナブルなモータースポーツの実現を目指していこうとSF NEXT50を立ち上げた」と上野氏はいう。
アジアを代表するレースを目指す
SF NEXT50では、社会、事業、人の三本柱でそれぞれSDGsやCNへの挑戦、デジタルシフトやエンタメ性の強化、競技人口や業界人材の育成に取り組み、アジアを代表するレースカテゴリーを目指している。現時点では詳細なKPIや期間は公開していないが、「来場者数とアプリSFgo(後述)の会員数」の二つが大きなKPIといい、各施策について上野氏は「早くも花開き始めている」と手応えを見せる。