「怖がりたい」人の心理
こうした神経科学と生理学に基づくプロセスを知れば、エクストリームスポーツやお化け屋敷、恐怖映画が大好きだという人が多いことも理解できそうだ。同時に、安全な環境が私たちに心地良さをもたらす理由も、明らかになる。ホラー映画を見たりすることで恐怖を感じたい人が多い理由は、次のようにまとめることができる。
・アドレナリン:恐怖は「戦うか、逃げるか、固まるかの反応」を引き起こし、アドレナリンを放出させる。これにより頭が覚醒したり、生きているという感覚が得られたりすることが快感となる人が多い。
・コントロール感:ホラー映画やお化け屋敷は、安全な環境で実際に危険を冒すことなく恐怖を体験できるものだ。それによって、自分や周囲をコントロールできているという感覚を持つことができる。
・カタルシス:コントロールされた安全な環境で恐怖などの感情を解放させる、またはそうした感情に向き合うことは、鬱積した感情を処理し、解放する(カタルシスを得る)方法となる。それが、ストレスや不安の軽減につながると考えられる。
・人との絆:人と一緒に恐怖を体験することで、私たちは社会的な絆を強めることができる。
・新しい経験:恐怖感をもたらす行動は、新しく、刺激的なものであり、一時的に日常を忘れさせてくれるものでもある。脳は常に、新しさと刺激を求める。
・達成感:たとえコントロールされた環境下でも、恐怖心を克服することは、達成感をもたらす。
・文化的背景:世界には、さまざまな形で恐怖心をたたえ、大切にしてきた伝統を持つ文化も存在する。
・現実逃避:日常生活のなかでの心配事を忘れ、より刺激的な別の世界に浸ることができる。
(forbes.com 原文)