本稿では、拡大するAIのインパクトが、職業の世界にどのようなトレンド、課題、機会を生み出すかを考えてみたい。
AIが採用に及ぼす影響
AIは、すでに以前から採用担当者の主力ツールとなっている。山のような応募書類を、インテリジェントなテクノロジーを使って選別し、理想的な応募者を見つけ出そうとしているのだ。しかし2024年には、応募者のほうがAIを使って活動することも、当たり前になってくるだろう。その大きな理由は、多くのツールが一般の求職者にも利用しやすくなっていることだ。例えば、キャリアアップ支援サービスのTeal(ティール)は、求職者に向け、AIを搭載したツール群を提供している。履歴書やカバーレターの作成、LinkedIn(リンクトイン)プロフィルの分析、求人応募トラッカーといったものだ。
労働市場が進化するにつれて、求人側も求職側も、最先端のテクノロジーで優位に立つべく、AIソリューションの導入を進めていくだろう。このトレンドは、今後数カ月でさらに強まりそうだ。
AIは、既存の仕事を変える
AIはしばしば雇用を奪うものとみなされるが、より正確には「雇用を再定義するもの」だろう。多くの場合、AIによって重要な仕事の必要性がなくなるわけではない。それどころか、いくらAIの機能が高度化しても、人間の労働者に比べれば単純な仕事しかこなせない。LinkedInの最近の記事には、こう書かれている。「反復的な作業は、反復的であるがゆえに、かなりの時間とリソースを消費する。人間の介入を必要とすることが多く、ミスや疲労、むらが生じやすい。そこへAIが登場した。AIはこのような作業を、疲れを知らず、確実にこなすテクノロジーだ。人間の介入による出来のばらつきもない」
このことは、従業員が、より有意義で価値の高い活動に集中できる新たな機会をもたらす。その結果、より特化された複雑な課題に取り組む仕事が生まれる。またそのような仕事は、単純で時間のかかる、さまつな業務に煩わされることもない。