ぬいぐるみのような姿をした日本原産のこの中型犬は、世界の暗号資産の上位に君臨し続けるミームコインのテーマとしても知られる。キツネに似た茶と白の毛並みが一般的で、日本の天然記念物に指定されている。
「Shiba & Co.」は、柴犬という犬種への愛が高じて生まれた新しいライフスタイル・ブランド。ニューヨークで柴犬と暮らすニコロ・ディ・ステファノとジアタイ・チーが共同で立ち上げた。柴犬用に作られたリードや首輪、ペットウエアのほか、キャンドルやトートバッグなども扱っており、犬だけでなく飼い主や柴犬愛好家のためのブランドだ。
今冬の最新コレクションは、柴犬のイラストが描かれたオーガニックコットン製の大容量トートバッグや、マンハッタンを象徴する地区「セントラルパーク」「ヘルズキッチン」「ソーホー」をイメージした3種類のキャンドルなど。キャンドルはすべて大豆由来の植物性蝋(ろう)と無鉛のコットン芯で作られ、ペットのいる環境でも安心して使える。
犬用品には、オレンジ・緑・紺の3色のシルク製バンダナ、イタリア・トスカーナ産の植物タンニンなめし革を用いた首輪やリード、透湿防水素材を使った犬用フード付きパーカーなどがある。
次なる新製品は、衝撃吸収バネ内蔵の犬用ハーネスと、柴犬をデザインした飼い主用パーカーになる予定だ。「柴犬の偶像は、遊び心のあるファッションにぴったり。私たちの大好きな犬種をデザインの根本に据えた衣料品を展開することで、さらに一歩先を目指したい」とチーはいう。
すべての始まりはチーとディ・ステファノが2020年、ペット服業界にはおしゃれな商品があふれているものの、品質基準はとても満足のいくレベルではないと気づいたことだった。2人はフェンディとオリという2匹の柴犬を飼っている。2匹はインスタグラムに自前のアカウントを持っており、インスタやTikTokで宣伝してほしいとペット服ブランドから無料で商品を提供されたのだ。
「多くのペット服がきちんと作られていないことに気づいた」とチーは説明する。「ドッグウエア業界は品質に問題を抱えており、機能性をおろそかにしていることも多い。高級品に大枚をはたくならともかく、愛犬に手頃なペット服を見つけるのは難しいかもしれない」
2人は2021年にShiba & Co.を創業し、中国産マルベリーシルクを使ったオレンジ色のバンダナを発売。このバンダナはブランドのトレードマークとなった。続いて売り出した犬用パーカーは、ニューヨークの公園に集まった柴犬の飼い主たちの間で好感触を得ただけでなく、飼い主たちも柴犬ブランドの服を着たがっていることがわかった。
「(暗号資産)ドージコインの台頭以降、柴犬という犬種にみんな夢中だ。インターネット上で最も人気のある犬種だろう」とディ・ステファノ。「最初はただのミーム人気だった。あの柴犬は横目でちょっとおもしろい表情をしているからね。でも今は、どういう犬種か知った上で、ありのままの柴犬を愛そうとしてくれている」とチーが続ける。
Shiba & Co.のペットウエアは、柴犬の体型にフィットするサイズで作られている。犬種の違いを大事にしたペット服の先駆けといえる。「犬種によって体の大きさが違うのだから、どんな犬種にも合う服などありえない。犬によって必要なものは違う。そのうち、さまざまな犬種を対象にブランドを拡大したい」とディ・ステファノは語った。
(forbes.com 原文)