ベルリン~パリ、ベルリン~ブリュッセル、パリ~オーリヤックと、今月だけでも3本の夜行列車の新路線が運行を開始する。これは新年の大きな発展を予感させるとともに、鉄道旅行のロマンと利便性を愛する人々にとっては喜ばしい出来事だ。
寝台列車は、ライアンエアーやイージージェットのような格安航空が全盛だった10年ほど前に事実上姿を消した後、復活を遂げただけではない。夜行列車の新路線を運行する鉄道会社の多くは国営だが経営は順調で、旅行者はこの古典的な鉄道旅行の復活を熱狂的に歓迎している。
なぜ寝台列車を選ぶのか? 環境に敏感な人々は、欧州域内を結ぶ短距離航空路線の二酸化炭素排出量が破滅的であることを認識している。旅行者が飛行機の代わりに電車を利用すれば、環境への影響を抑えることができる。
寝台列車を利用すれば、ゆったりと旅ができるだけでなく、町から町への移動が非常に効率的になる。寝台を事実上のホテルとして利用できるため、宿泊費を抑えられるからだ。列車内では仕事をすることもできるし、読書をしたり、眠ったり、会話をしたり、フランスやオーストリアで昇る朝日を車窓から眺めることもできる。列車を利用することで、空港へ往復する時間や経費を省けるし、空の便の遅延や欠航、天候による運行の乱れを心配する必要もなくなる。鉄道は都市の中心から出発し、別の都市の中心に到着するので、どちらの地点でも公共交通機関が利用できる。これは環境にも優しい。
欧州連合(EU)の多くの加盟国が新車両や鉄道に投資し、乗り継ぎを改善している。欧州で夜行列車の旅を復活させるために尽力したオーストリア連邦鉄道が運行するナイトジェット は、ワイヤレス充電ステーションや無料の無線LAN、シャワーとトイレの付いた個室など、需要の高い機能を備えた最新の車両を導入した。
今月新たに運行を開始した3本の夜行列車を紹介しよう。
オーストリア連邦鉄道ナイトジェット:ベルリン~パリ
新年の幕開けを前に、9年前に廃止されたベルリン~パリ間の夜行列車が待望の復活を遂げた。運行するのはオーストリア連邦鉄道で、当初は週3便だが、来年秋には毎日運行される予定だ。列車はベルリンを午後8時18分に出発し、翌午前10時24分にパリに到着。途中でドイツのハレ(ザーレ)、エアフルト、マンハイム、フランス東部のストラスブールに停車する。オーストリア連邦鉄道ナイトジェット:ベルリン~ブリュッセル
オーストリア連邦鉄道ナイトジェットが新たに運行を開始するもう1つの路線は、ベルリンとブリュッセルを結ぶものだ。この路線も週3回の運行から開始する。ブリュッセルを午後6時48分に出発した列車は、ベルギーのリエージュ、ドイツのアーヘン、ボン、コブレンツ、フランクフルト、エアフルト、ハレ(ザーレ)に停車し、翌午前8時26分にベルリンに到着する。フランス国鉄:パリ~オーリヤック
20年近く前に運行を停止したパリ~オーリヤック間の夜行列車が、今月復活した。フランス国鉄によると、夜行列車のルピレネアンとロクシタンが首都パリと南東部オーベルニュローヌアルプ地方のオーリヤックを結ぶ。カンタルにも接続する。(forbes.com 原文)