クラウドコンピューティングは近年、アマゾンやマイクロソフトなどの企業にとって最大の成長分野となっている。そのため、この部門における中国企業の台頭は、国防総省が当てにしているイノベーションへの投資を縮小させる可能性がある。
それだけではない。12月13日付のフォーブスの記事で、寄稿者のニーナ・シアンは、中国でスマートフォンOSのシェアを支配しているAndroidから、ファーウェイがその座を奪おうとしていると報じた。その試みが成功すれば、ファーウェイのスマートフォンがアップルのような競合他社の製品よりもはるかに安価で売られていることが多い他の市場にも、ファーウェイは自社OSを間違いなく持ち込むだろう。
米国のビッグテックは世界をリードするイノベーターであり続けているが、中国は米国の多くの製造業に対してすでに行っていることを、巨大テクノロジー企業にも行おうとしている。
米国のビッグテックが失速すれば、重要なテクノロジーで中国より優位であり続けようとする国防総省の計画は、もはや成し遂げられなくなるかも知れない。国防総省が最優先で取り組むべき将来の課題として挙げている新興テクノロジーのほとんどは、ソフトウェア主導の商業的なイノベーションだ。
こうした背景を見れば、米国の独占禁止当局による巨大テクノロジー企業への継続的な嫌がらせは時宜を得ておらず、米国の安全保障に破壊的な影響をもたらす可能性がある。
軍はこの10年間、AIソフトウェアのような最先端のイノベーションに莫大な投資を行う民間企業を頼りにしているが、莫大な投資には巨大な企業が必要だ。
米シンクタンクの企業競争研究所(CEI)が12月13日付の報告書で指摘しているように、独占禁止の執行で大手テクノロジー企業を攻撃することは、技術革新競争において中国が米国を追い越す手助けになりかねない。バイデン政権は、安全保障と規制の目的をもっとうまく調和させる必要がある。
(forbes.com 原文)