暮らし

2023.12.31 14:00

経営者としての装いと姿勢を示してくれた2本のネクタイ

贈り、贈られたモノや体験は、人生を変えるほどの力を持つことがある。企業のトップ、リーダーたちが経験した、モノや体験に介在する特別な思い入れを紹介する。自身の生き方、サクセスストーリーにも影響を及ぼしたであろう「GIFT」の逸話には人間味あふれる姿がある。希薄化も言われる現代の人間関係とは異なる、特別な関係だ。

THE GIFT #7

松崎善則

ユナイテッドアローズ 代表取締役 社長執行役員CEO
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経営者としての装いと姿勢を示してくれた2本のネクタイ
ブルーのランダムな小紋柄がコムデギャルソン、
ネイビー×ゴールドの市松柄がオールドイングランドのもの。
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自分がまだ若手のころからお世話になっているのが、ファッション業界の重鎮であるTUBEのデザイナー・斎藤久夫さんだ。業界の誰もが認めるお洒落でエレガントな方で、驕らず偉ぶらないフラットなお人柄も魅力。迷ったり悩んだりしたときにお話を伺うと、明快な解をくれるわけではないものの、いつも不思議と考えがまとまる。そんなメンターともいえる存在だ。

2021年に私が社長に就任した際、「松崎さんに似合うと思ったから。遊び心があって良い柄でしょ?」と斎藤さんがさりげなく渡してくださったのが、“私物”のコムデ ギャルソンとオールドイングランドのネクタイだった。きっとこの贈り物には「人に見られる機会が増えるのだから、紳士的なドレスアップもしなさいね」というメッセージが込められていたのだろう。と、同時に、“遊び心”のひと言に、「ファッション企業としての楽しさも忘れずに」という深い思いもあったのではないか。私は、そう解釈した。現在、主に華やかな場面で活躍しているこの2本のネクタイ。使わない日であっても、クローゼットで目にするたびにその思いがよみがえるのである。


まつざき・よしのり◎1974年生まれ。98年にユナイテッドアローズ渋谷店にアルバイトとして入社。その後 店長や部門本部長を経て、2012年執行役員、18年に取締役常務執行役員、20年に取締役副社長執行役員を経て、21年4月より現職。

文=伊藤美玲 イラスト=東海林巨樹

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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