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2023.12.15

アップル、「仮想iOS」を販売するイスラエル企業との法廷闘争で和解

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アップルとイスラエルのセキュリティ企業Corellium(コアリウム)との4年間に及んだ法廷闘争が、ようやく終結を迎えた。裁判所は両社が合意に至ったことを発表したが、条件は明かされていない。

2019年8月にアップルは、コアリウムを、iOSのコピー版を作成したことによる著作権侵害とデジタルミレニアム著作権法(DMCA)違反の両方で訴えていた。コアリウムは、セキュリティ研究者たちが脆弱性やバグを発見する上で役立つ「仮想化iOSデバイス」を提供していたが、アップルは、これが違法な複製にあたると主張し、このソフトウェアの販売中止と、コピーされた結果失われた利益の支払いを要求した。

電子フロンティア財団を含む批評家たちは、アップルの主張がセキュリティ研究を脅威にさらすと非難したが、アップルはこれを否定していた。

この訴訟では、複数の驚くべき事実が明かされた。コアリウムの弁護士は、アップルが2018年に同社を2300万ドル(約33億円)で買収しようとしていたことを明らかにした。また、異例の動きとして、アップルは防衛大手のL3Harrisを裁判所に召喚し、同社がコアリウムのテクノロジーをどのように使用しているかを明らかにするためのデモを行わせた。


アップルはその後、コアリウムがDMCAに違反したとする訴えを取り下げ、著作権侵害の主張のみを継続させた。しかし、アップルが2021年に起こした著作権侵害の訴えを裁判所は今年4月に棄却し、その理由を、コアリウムの行為が「フェアユース」に該当するからだと説明した。判事は、コアリウムのツールがiPhoneのセキュリティに関する重要な調査を支援するものであり、同社の行為は著作権侵害にあたらないと判断した。

しかしながら、コアリウムがアップルのブランドや壁紙の著作権を侵害しているかどうか、あるいはiOS上でソフトウェアを実行している第三者の著作権を侵害しているかどうかをめぐる裁判は、フロリダ州の地方裁判所でその後も続いていた。

だが、裁判所は12月14日、この件で和解が成立したことを発表した。「この裁判の当事者らは、本訴訟に残るすべての訴因と争点について十分かつ完全な和解に達した。当裁判所は、この訴訟で友好的な和解に達した当事者らとその弁護士を祝福する」と書類には書かれている。

アップルもコアリウムも、この記事の掲載時点で本件についてコメントしていない。

CEOのアマンダ・ゴートンとiPhoneのセキュリティ専門家であるクリス・ウェイドによって設立されたコアリウムは、現在までに2500万ドル(約35.5億円)を調達し、2019年には6人だった従業員を現在では60人にまで増やしている。同社は、仮想Android端末や車載ソフトウェアの作成にも事業を拡大している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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