ウクライナ軍はこの方面でも、新たに編み出したドローン(無人機)および対ドローン戦法を採用した兆候がある。ウクライナ側のドローンを飛べなくするためにロシア側が用いている電波妨害(ジャミング)装置を破壊するとともに、ロシア側のドローンを飛べなくするためにウクライナ側の電波妨害装置を設置するという方策だ。
「ウクライナ側はこの戦域でも電子戦で優位に立ちつつあるようだ」。軍事アナリストのドナルド・ヒルは、現代戦に詳しい作家のトム・クーパーのニュースレターにそう書いている。「ウクライナ側のドローン攻撃の回数は増えている。それも大幅に。一方、ロシア側のドローン攻撃の回数は大幅に減っている」
冬が深まり、ロシア軍がウクライナの1000km近くにおよぶ前線のいくつかの戦域で恒例の冬季攻勢に乗り出すなか、自由なウクライナを擁護する人たちに希望を抱かせる動きだ。
ロシア軍による冬季攻勢の主目標になっているのがアウジーイウカである。すでに廃墟と化しているこの町を、ロシア軍はまず車両の攻撃で攻略しようとして頓挫した。次に徒歩兵の攻撃に切り替えたが、こちらもうまくいかなかった。これらの過程で、ロシア軍は1万7000人もの死傷者を出した。ロシア軍は次に空からの攻撃に重点を移し、爆薬を詰め込んだFPV(1人称視点)ドローン、一部は夜間飛行に対応したものを送り込むようになっている。ウクライナ側の補給線をつぶし、守備隊を孤立化させて撤退に追い込む狙いだろう。
ウクライナ側はこれらロシア側のドローンを飛べないようにして攻撃を未然に防ぎつつ、ロシア側がウクライナ側のドローンを飛べないようにするのも阻んでいる。これは、ウクライナ軍の補給線が引き続き確保される可能性がある一方、ロシア軍の補給線は支障をきたしかねないということだ。
「ウクライナがこの優位をどのくらいの間保てるかはわからないが、現在はそれによってウクライナ人の命が救われている」とヒルは記している。
ロシアがウクライナで拡大して22カ月になる戦争で、爆薬を積んだ小型ドローンは最も危険な兵器の1つになっている。そのため、そうした自爆ドローンや、こちらも双方が使用している偵察ドローンに対する電子防御が不可欠になっている。
電波妨害で優位に立つ側は、その戦場の上空を支配可能になり、ウクライナ軍はこうした優位性を広げてきている。アウジーイウカの近辺でウクライナ軍部隊がロシア側の電波妨害装置を攻撃する映像や、アウジーイウカの上空からロシア側のドローンがふらふらと落下する映像も最近投稿されている。
During reconnaissance operations near Avdiivka, soldiers of the 3rd SOF Regiment found two enemy Electronic Warfare complexes - the R-330 "Zhytel" and the R-934 station of the "Borysoglebsk-2" complex
— Cloooud |🇺🇦 (@GloOouD) November 11, 2023
Both were taken out of actions.
The result of this work will strengthen the…… pic.twitter.com/VQh7M8z9HS