経営・戦略

2023.12.16 14:00

活発な議論、透明性、多様性ある取締役会。すべては「会社にとって最善かどうか」

Forbes JAPAN編集部
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「経営者の私心を社員は見ている」

──81年にJAC Groupの前身である企業に入社し、ゼロから人材紹介事業を立ち上げ軌道に乗せてこられた。ガバナンス面で心がけてきたことは。

田崎:経営者が正しい行いをすることはとても大事だ。私は常に自分を律しながら経営してきた。公私混同をしたことは一切ない。鉛筆一本でも、自分のものは自分で買う。交際費を派手に使うこともなければ社用車もない。必要に応じてタクシーを利用する。お金は事業に使うべきだからだ。
 
当社はオーナー企業だが、オーナー経営者はともすると公私混同していると見られがちだ。経営者の私心を社員は見ている。上に立つ人間が自分を律することで会社のカルチャーがうまくワークする。みんながついてきてくれなくては、この企業規模にはならなかった。すべてのビジネスは人で成り立っている。この人ならついていこう、安心して信じられると思ってくれたのだろう。

──重要なことを決断するときの秘訣は何か。

田崎:ある経営者の方に「物事を決断するときは、会社のためになるかどうかで決めなさい」とアドバイスされたことがある。人は相手にどう思われるかなどと考えて悩みがちだが、自分のためではなく、今の会社にとって最もやらなくてはいけないことを軸に据えると物事を決定しやすくなる。


田崎ひろみ◎1950年生まれ。京都府出身。1974年に渡英。日系金融機関に在籍した後、81年にJAC Groupの前身となるTazaki Groupに入社。新事業となる人材紹介事業を英国で軌道に載せ、88年に日本でジェイ エイ シー リクルートメントを設立。

ジェイ エイ シー リクルートメント◎1975年に英国で創業。日本法人は88年に設立。アジア、欧州、米国など世界11カ国でミドル・ハイクラスのマネジメント層と専門職人材を中心に人材紹介サービスを提供している。

文=瀬戸久美子 写真=ヤン・ブース

この記事は 「Forbes JAPAN 2023年12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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