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2023.12.16 08:00

著名歌手からバイオ企業CEOに転身、アロー・ブラックの決意

アロー・ブラック(Shutterstock.com)

アロー・ブラック(Shutterstock.com)

ソウルシンガーとして注目を集め、EDMシーンのトップDJ、アヴィーチーのシングル『Wake Me Up』でフィーチャーされて大ブレイクしたアロー・ブラックは、歌手としてのキャリアを始動させる前は科学者になるつもりだった。南カリフォルニア大学に進み、当初は神経科学を専攻するつもりだったが、同大にはその学科が無いことに気づき、代わりに言語学と心理学の学位を取得した。
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2001年に卒業後、会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(現EY)に入社したが、ごく短期間で解雇された。大学に戻って博士号を取得することも考えたという。だがその後、趣味だった音楽で才能を発揮した彼は、『I Need A Dollar』や『The Man』『Wake Me Up』などのヒット曲でシンガーとしての地位を築くことになった。

そんな彼の科学への興味をよみがえらせたのは、2022年に新型コロナウイルスに感染したことだったという。「ワクチンを接種し、追加の接種も受けたのですが、それでも発症してしまった。そのことが原因で、この病気の解決策を見つけようと思ったのです」とブラックは言う。

当初、研究者たちに寄付をしようと思ったが、「慈善事業としてバイオテクノロジーに取り組むのは、ほとんど不可能だとすぐに気づいた」という。「規制当局と交渉するにしても、向こうは事業計画を知りたがる。この薬をどうやって商品化し、持続可能なものにするのか? もしビジネスとして持続可能でないのであれば、なぜヒトに投与する認可をあなたに与える必要があるのか? そんな具合に質問攻めに合った結果、私は慈善活動ではなく、自らが起業家になることに決めたのです」とブラックは語る。
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現在バイオテクノロジー企業Major(メジャー)の最高経営責任者(CEO)を務める彼は、ヒューストン大学の研究者たちと協力して、ウイルス感染症へのアプローチを変える可能性のある化合物を開発している。新型コロナウイルスに対する斬新なアプローチとして始めたことが、今ではそれ以上のものとなった。「この会社は、複数の病気に対処するプラットフォーム企業なのです」とブラックは言う。

「気がつくと、ほとんどフルタイムでビジネスに関わっている自分がいました。今は、この会社の事業や、新たなソリューションを生み出すことに、信じられないほど熱中しています」

「私は今でも音楽を作り続けているけれど、メインの仕事としてではありません」。今は、NPOのために“音のレガシー”と呼ぶものを創作しているという。「私は、自分の音楽を人々の暮らしのサウンドトラックにしたいんです」

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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