ChatGPTを運営するOpenAIとドイツを拠点とする出版グループのアクセル・シュプリンガーは12月13日、ポリティコやビジネスインサイダーに加え欧州のBildやWeltを含む、アクセル社傘下のすべてのメディアブランドがこの取り組みに参加すると発表した。
この契約により、OpenAIはアクセル社に対価を支払って有料記事を含むコンテンツにアクセスし、ChatGPTを通じて記事の要約をユーザーに提供する。OpenAIはまた、アクセル社のコンテンツをChatGPTのトレーニングに使用可能になり、AIの情報の正確性についての懸念が高まる中で、検証済みの質の高いリアルタイムの情報でナレッジベースを強化できる。
両社は、この提携が顧客のAIエクスペリエンスを向上させると同時に「ジャーナリズムの持続可能な未来を支える新たな経済的機会を創出するものだ」と述べている。この契約の金銭的条件は不明だが、ウォール・ストリート・ジャーナルは、この契約がアクセル社に大きな収益をもたらす可能性があると報じている。
この契約は、出版社とクリエイターが、AIツールによる著作権侵害の問題に直面する中で成立した。ChatGPTのようなAIプログラムは、ユーザーの質問に答えるために、膨大なデータで学習を行う必要があるが、ここ最近は、複数の著名な作家がChatGPTの学習に彼らの著作が無断使用されたと主張して、訴訟を起こしている。
メディア企業も同様の問題に直面しており、数百の報道機関がOpenAIによるコンテンツの無断利用を防ぐために、ブロッカーを導入したとされる。しかし、OpenAIとアクセル社の交渉は水面下で続けられてきた模様だ。今回の契約は、OpenAIが7月にAP通信と結んだ同種の契約に続くものと言える。
(forbes.com 原文)