『バルダーズ・ゲート3』が2023年最高のゲームとなった理由

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今年のゲーム・オブ・ザ・イヤー(GOTY、年間最優秀ゲーム賞)に、『Marvel's Spider-Man 2』のような大作アクションゲームではなく、テーブルトークRPG(TTRPG)をベースとしたポイント&クリック式のゲーム『バルダーズ・ゲート3』が選ばれたことはおかしいという、実にくだらない主張がこのところ、インターネット上で繰り広げられている。ただ、『バルダーズ・ゲート3』をプレイしていない人の中に、なぜ同作が「The Game Awards」など今年のゲーム賞を席巻したのかが理解できない人が多数いるであろうことも理解できる。

『バルダーズ・ゲート3』は、はたから見れば、キャラクター同士が交わす長々とした会話と、ズームアウトした画面で非常にゆっくりと進むターンベースの戦闘だけのゲームに見えることだろう。それだけでは、なぜこのゲームがここまで人気になり、300時間もプレイする人がいるのかは、少々理解し難い。

私自身、このゲームは合わなかった。個人的には、ターン制の戦闘や45分にもわたる長いバトルには耐えられず、『Spider-Man』のような派手なアクションゲームのほうが好きだ。ただ、ある程度プレイしてみると、このゲームがこれほど高く評価されている理由や、そのゲームデザインが客観的に見て極めて洗練されていることが理解できた。

これはなかなか説明しづらいが、うまく動画で表現してくれた人がいる。モー・モー・オブライエン(Mo Mo O'Brien)はこの動画で、『バルダーズ・ゲート3』未経験者に対し、同作ではプレイヤーがさまざまなミッションやストーリーで自分の創造性をぞんぶんに発揮できることを説明。ゴブリンのキャンプに潜入して捕虜を解放するという序盤のクエストを例にとり、そのためにさまざまなプレイヤーがとったアプローチの数々を紹介した。

・音楽を流してゴブリンを1カ所に集め、奇襲をかける
・階段をオイルで滑りやすくしたり、橋を凍らせたり、すべてのドアに鍵をかけたりして奇襲をかける
・味方の陣地の場所をわざとばらし、取り巻きたちをキャンプから去らせた上で、リーダーを襲う
・奇襲をかけようとして失敗し、牢屋に入れられるも、脱走して逆襲する
・酔っぱらって寝ていたゴブリンたちを起こし、もっと酒を飲ませて行動不能にさせる
・ゴブリンたちが開いた宴で、用意された飲み物に毒を盛る
・敵を、クモの檻の中に投げ込む
・クモを手なずけ、反乱を起こさせる
・ゴブリンの仲間になる
・牢屋に入れられたパーティーメンバーの1人を助けるため、猫に変身して潜入する
・牢屋に入れられた後、救出するべき捕虜が同じ地下牢にいることに気づく
・ゴブリンの女まじない師に渡された薬を飲んで気を失い、牢屋で目が覚める
・プレイヤーがエルフの場合、薬は効かず、怒った女まじない師に襲われる
・女まじない師を誘惑し、ベッドルームに連れ込んだ上で暗殺する
・うんちを顔に塗ることで、ゴブリンに気に入られてキャンプに入る(キャンプ内で会うゴブリンは皆、プレイヤーの顔がうんちまみれであることにきちんと反応する)
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翻訳・編集=遠藤宗生

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