Grokが公開された際には、これがXのインプットなどを基にトレーニングされていたことから、人種差別的な言葉を吐き出す「右翼版ChatGPT」になるとも予想されていた。言わば「AI版Truth Social」とでも呼べるものだ。ところが実際のGrokは、驚くほど思慮深く進歩的なAIであり、月額16ドル(日本では1960円)を払ってアクセスしている人々がそれに地団駄を踏む様子は、この状況から起こり得た結果としてはこれ以上望めないほど滑稽なものだ。
Grokの「woke」さを抑え、より「政治的に中立」にするためにイーロン・マスクがどんな措置を講じるのかはわからない。インプットに手を加え、本質的に進歩的な事柄に「中立性」を強いるようになれば、すぐにおかしな状況を生む恐れがある。やりすぎれば、Grokはみなが予想していたような人種差別的で嫌悪的なAIになってしまうだろう。
一連のGrokの回答を読んでいたら、私はこのAIに愛着がわいてきた。ChatGPTよりも好感が持てる、いかしたAIのようだ。ただそれでも、月16ドル払ってまで話したいとは思えない。
(forbes.com 原文)