Epicは自社のウェブサイトに以下のように投稿した。「本日の評決は、すべてのアプリ開発者と世界中の消費者にとっての勝利です。グーグルのアプリストアのやり方が違法であり、独占販売権を乱用して法外な料金を請求し、競争を阻害し、イノベーションを抑制していることが証明されました」。
もちろんグーグルはこれに異議を唱え、判決を不服として控訴するとしている。
グーグルの広報担当者は「私たちは評決に異議を申し立てるつもりです。AndroidとGoogle Playは、他のどの主要モバイルプラットフォームよりも多くの選択肢と開放性を提供しています」と、The Vergeの取材に語った。
しかし、このような判決と欧州連合のデジタル市場法(DMA、Digital Markets Act)が、グーグルとアップルが築き上げてきたモバイルプラットフォーム上でアプリ配信と収益化をコントロールする力を、ゆっくりと、しかし確実に削りつつある。15年間続いた携帯電話へのアプリの提供方法は、劇的に変わろうとしている。また15年間続いた、誰がアプリでお金を稼ぐのかという勢力図も書き換わるだろう。
ただし、これは一夜にして起こるわけではない。そして、それがすべてEpic Gamesの数年にわたる法的取り組みのおかげだけということでもない。
2007年、アップルのスティーブ・ジョブズがiPhone(アイフォン)を発表した。2008年7月にはアップルがアプリストアであるApp Store(アップストア)のサービスを開始し、同年10月、グーグルはアンドロイド版アプリストアのGoogle Playを立ち上げた。それ以来、アプリ配信とアプリ内課金の2社による独占がモバイル世界のほとんど(中国を除く)を支配し、開発者と消費者から巨額の利益を吸い上げてきた。
2023年1月、アップルのサービス担当上級副社長エディ・キューは、「App Storeでデジタル商品やサービスを販売する開発者は、2008年のプラットフォーム開設以来、3200億ドル(約45兆円)以上を稼いでいます」と述べた。アップルはApp Storeにおけるアプリ内課金のほとんどから15~30%を徴収している。またグーグルは、Google Playでのアプリ内課金による年間約400億ドル(約5.6兆円)の売上げから、やはり同程度の割合を徴収している。そのほとんどは、ストア運営や支払い処理にかかるある程度の経費を差し引くと純粋な利益となる。