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2023.12.25 11:00

変動性の高まる金融市場に対応するために、プライベート・エクイティが果たしうる役割とは

近年、上場株式市場が不安定さを増すなか、ポートフォリオの分散を図るためオルタナティブ投資を組み入れる投資家が増えている。*1

世界最大級のオルタナティブ投資運用会社ブラックストーンが、足元の環境におけるプライベート・エクイティ投資(PE投資)の魅力を語る。


上場株式市場の不安定さが高まるなか、ポートフォリオの分散を強化する手段として、世界中の個人投資家の注目を集めているのがオルタナティブ投資だ*1。以前は機関投資家中心だったが、近年個人投資家も小口で投資可能な商品が提供されるようになったことも追い風となっている。

世界最大級のオルタナティブ投資運用会社として資産運用残高1兆ドル超(約150兆円)*2を誇るブラックストーンは、オルタナティブ投資、なかでもPE(非上場企業の株式)投資が長期的な資産運用の中核になりうると説く。

ブラックストーン プライベート・エクイティ グローバル責任者 ジョー・バラッタ(写真左。以下、バラッタ)にグローバルの視点、ブラックストーン・グループ・ジャパン 代表取締役 プライベート・エクイティ日本代表 坂本篤彦(写真右。以下、坂本)に国内の視点から語ってもらった。

混迷の時代に投資機会を見いだすプライベート・エクイティ

―世界で約230社に投資するブラックストーンは、現在の市場をどう見ていますか。

バラッタ:ブラックストーンのPE投資先企業の2023年7-9月期の売上高成長率は1桁台後半の伸びを見せるなど、一定の底堅さが見られます。とはいえ、全体的な環境は引き続き楽観できず、金利は当面高いままでしょう。一方で、当社は約40年の歴史を通じ、金利の水準に左右されず一貫してお客様にリターンを提供してきました。成長分野の事業や資産に投資し、長期的な価値向上に向けた事業の変革を重視しており、大きく成功した投資の一部は市場が混乱する局面で実行してきました。当社には規模と柔軟性という強みがあり、世界中で2,000億米ドル(約30兆円)*2を超える資金の投資ができます。

坂本:日本でも数十年ぶりに到来したインフレは、多くを預金や現金に滞留させている個人投資家が資産配分戦略を見直す契機となっています。日本に先行してインフレが進む欧米では、株式と債券の相関性が高まり、上場市場での分散投資が難しくなるなかで、投資家はポートフォリオの分散を図るためプライベート市場への投資の比重を高めています*1。その手法のひとつがPE投資、有望と思われる非上場企業への投資です。

―IKEAやマッキンゼー・アンド・カンパニー、LEGO、国内ではサントリーホールディングスや竹中工務店、YKKなどの大企業も非上場ですね。*3

坂本:PE投資には40年以上の歴史があり、ブラックストーンも約40年前にPE投資会社として創業しています。その後今日に至るまで、PE投資は著しく拡大しました。

現在では、事業の変革への支援がこれまで以上に重要になっています。積極的な経営改善と企業価値の向上を通じて長期的な成長を達成することで、最終的に投資先企業の株主や従業員、投資家に利益を還元します。

「プライベート・エクイティ投資は著しく拡大しました。現在では、事業の変革を支援することがこれまで以上に重要になっています。積極的な経営改善と企業価値の向上を通じて長期的な成長を達成することで、最終的に投資先企業の株主や従業員、投資家に利益を還元します。 」坂本篤彦

プライベート・エクイティ投資のメリットとは

―PE投資の優位性を教えてください。

バラッタ:PE投資は歴史的に上場株式市場を大きく上回るリターンを獲得してきました。世界中の名だたる機関投資家がPE投資の配分を引き上げており、例えば、カナダ年金制度投資委員会では、23年に総資産の30%超をプライベート・エクイティに投資しました。

坂本:PEには投資家を引き付ける魅力があります。それは以下の理由からです。①世界の大型企業の約86%が非上場であり「投資対象が幅広い」。②PEの大手運用者は投資先企業について膨大かつ詳細な情報をもち、「情報の優位性」を発揮できる。③ブラックストーンのPE部門では、過半数株式を取得し、企業経営に直接関与して「企業価値の向上」を図ることが可能。④一般的に、各企業に対して長期にわたり投資を行うので、「売却時機・手法の柔軟な調整」も可能。

ブラックストーンの強み

―1985年にM&Aアドバイザリーを祖業として設立したブラックストーンは、今や世界最大級のオルタナティブ投資運用会社へと発展されています。約40年の間に投資先や拠点は世界各地、日本にも広がっています。バラッタ様がかかわったPE取引の象徴的な事例をご紹介ください。

バラッタ:98年に入社した当時、当社のPE投資拠点は米国だけでしたが、2001年に私自身がロンドンに移り、欧州での事業拡大にあたりました。05年にマーリン・エンターテインメンツの経営陣と手を組み、世界有数のテーマパークおよび観光施設の運営会社を築くことになりました。

買収当時のマーリンは30弱の小規模なアトラクション施設を運営する小さな会社でしたが、当社が多額の資金を投じて、「レゴランド」やロンドンの観光地の巨大観覧車「ロンドン・アイ」やろう人形館「マダム・タッソー」を傘下にもつタッソー・グループなどを買収し、事業拡大を支援しました。
マーリンの上場後、同社の大株主として長年のパートナーである、レゴ創業一族の持ち株会社キルクビとともに、19年に再び同社を非公開化しました。マーリンの経営強化と長期的な成長には非上場形態が資すると共鳴したためです。マーリンはその後、24カ国で140以上の観光施設を抱える世界最大級のテーマパーク運営会社となりました。


この案件は、規模、経営に関する専門知識、グローバルネットワークといった当社の総合力を如実に語るものです。当社は、多数の投資先企業、豊富な経営支援リソースを活用し、投資先企業が各分野で飛躍的に成長できるよう支援します。*4

―ブラックストーンの日本での投資事例を教えてください。

坂本:私は18年よりブラックストーンで、国内企業のPE投資をけん引してきました。ヘルスケア分野での代表的な案件は、アリナミン製薬(旧武田コンシューマーヘルスケア)とあゆみ製薬の買収です。アリナミン製薬の買収は日本のヘルスケア分野における過去最大のPE案件です。同社の代表的な製品であるビタミン剤「アリナミン」は60年以上にわたり、日本の家庭に親しまれてきました。ブラックストーンは武田薬品工業の非中核事業を買収して「アリナミン製薬」という独立会社を設立し、当社の規模とヘルスケアに関する専門知識で、一段の成長を支援する機会を見いだしました。

当案件は、大企業傘下の非注力事業をカーブアウトし、独立企業としての潜在価値を最大限に引き出すことをPE投資運用会社が支援できる好事例といえます。新体制の下、国内市場シェアの拡大、通販プラットフォームの確立による直販強化、海外展開の拡大を成長の軸に、当社はアリナミン製薬の経営支援に尽力しています。*4

プライベート・エクイティで描く未来展望

―最後に、投資家にとってPEがなぜ魅力的な資産クラスになりうるか、教えてください。

バラッタ:現在はオルタナティブ投資、特にPE投資にとって魅力的な時期です。特に大事なのは投資先の選択です。当社には投資規模と、230社に及ぶ膨大な投資先企業のデータへのアクセスという強みがあり、トレンドをいち早く察知することができます。デジタル・エコノミー、エネルギー移行、ライフサイエンス*5など、インフレ率やGDPを上回るスピードで成長している分野に注目しています。PEは一貫して上場株式市場を上回って推移しており、足元の環境でもこれが続くと期待できるでしょう。

「歴史的に上場株式市場を大きく上回るリターンを獲得してきたのが、プライベート・エクイティ投資です。過去15年間で世界の上場株式市場は年率6%リターン一方プライベート・エクイティは年率12%のリターンを上げています。」 ジョー・バラッタ

ブラックストーン


ジョー・バラッタ◎ブラックストーン プライベート・エクイティ グローバル責任者。1998年ブラックストーン入社、2001年にロンドンに移り、ヨーロッパでのブラックストーンのプライベート・エクイティ投資事業の確立に貢献。12年からプライベート・エクイティ部門グローバル責任者、ニューヨーク在勤。

さかもと・あつひこ◎ブラックストーン・グループ・ジャパン代表取締役 プライベート・エクイティ日本代表。日本でプライベート・エクイティ投資に20年以上携わる。2018年より現職。


注記:すべての情報は、別段の記載がない限り、2023年9月30日現在の情報。表明された見解は、本資料に記載された日付の時点のみにおけるブラックストーンの最新の見解を反映。本資料に記載された見解や意見が実現することを保証するものではない。掲載された情報のうち、特に市場データ、経済およびその他の予測については、外部の情報源から得たものがあり、ブラックストーンは、これらの情報の正確性を保証しない。
*1 分散投資は利益獲得の保証や、損失を回避するものではない。
*2 1ドル149.58円にて換算(2023年9月29日)
*3 上記の非上場企業は、単なる説明のための例として提示。マーリン・エンターテインメンツ、アリナミン製薬およびあゆみ製薬は、ブラックストーンの現在の投資先。将来、ブラックストーンが同様の企業に投資する、または投資がその投資目標を達成する保証はない。
*4 紹介した事例は、運用の指標・パフォーマンスの両面について、特定の種類のすべての投資あるいは一般的な投資を代表するものではなく、また、ブラックストーン プライベート・エクイティ部門が将来に同等の、または同様に成功する投資を行うと想定すべきではない。ブラックストーンのファンドや投資がその目標を達成したり、著しい損失を回避できる保証はない。
*5 ブラックストーンが上記のテーマに関連する取引を調達もしくは実行できる保証はなく、またブラックストーンのファンド、投資がその目標を達成する、あるいは著しい損失を回避できる保証もない。

Promoted by ブラックストーン / text by Ryoichi Shimizu / photograph by Emi / edited by Akio Takashi ro