アジア

2023.12.13

中国のネット検閲当局がAI動画と「悲観主義の助長」を新たな禁止項目に

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香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は12月12日、中国のインターネット検閲を監督する当局が、新たな取り締まり対象を発表し、その中に、人工知能(AI)で作成されたコンテンツや「悲観主義」を助長する人物などが含まれていると報じた。

中国サイバースペース管理局(CAC)の新たな取り締まりは「悲観主義や過激主義を助長する者」や「不適切な職業観を持つ者」「拝金主義をアピールする者」などをターゲットにしている。SCMPが指摘するように「悲観主義」はこれまでのリストにはなかったまったく新しい追加項目と言える。

CACはまた、生成AIを用いて作成されたテキストや画像、動画があふれる中国版TikTokの「Douyin(抖音)」のコンテンツにも特別な監視の目を向けている。同局は、これらのコンテンツが一般人がスマートフォンを用いて作成したコンテンツと見分けがつかないことを危惧している。

しかし、中国当局が実施する検閲のルールは、明確なものとは言い難く、その例としては、10月に李克強前首相が死去した後に行われた取り締まりが挙げられる。政府は、李克強前首相に対する「誇張された賛辞」が、実際には習近平国家主席に対する批判であると考えたようだ。

ロイターとブルームバーグが昨年の記事で指摘したように、中国のサイバースペースの監視機関は、過去2年間、不動産開発業者に騙されたと感じている住宅購入者の怒りの動画を削除してきた。中国のトップエコノミストの1人であるホン・ハオも、中国の不動産市場が現在のトラブルから回復するには10年が必要だという予測をめぐって政府の検閲を受けている。

SCMPのレポートによるとCACは、今年第2四半期だけで4000以上のウェブサイトを閉鎖し、55のアプリを削除していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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