米財務省外国資産管理局は10月、ガザやその他の場所にいるハマスの主要なテロリスト集団のメンバーらに制裁を科し、11月の追加制裁により、ハマスやヒズボラなどのイランと連携するテロ資金の調達に関係する1000以上の個人と団体を制裁対象とした。財務省はまた、11月21日に暗号資産取引所最大手のバイナンスが複数の制裁プログラム違反に対する34億ドル(約4900億円)の罰金支払いに合意したと発表した。
そんな中、ライオンズゲート社は最近、ハマスが所有する9000万ドル相当の暗号資産を発見し、約100の口座を凍結することに成功した。今から1年前に設立された同社は、デジタル資産関連の詐欺被害にあった投資家や消費者に資金回収サービスを提供することに特化している。
DeFi(分散型金融)の分析プラットフォームDefiLlamaによると、これまで75億4000万ドル相当のデジタル資産がハッキングによって盗まれており、そのほとんどが過去3年間に発生したものという。ライオンズゲート社と類似した回収サービスの企業としては、JuratやM2リカバリーなどが挙げられる。
10月7日から続くハマスの資金調達に対抗する国家的な取り組みに協力するライオンズゲート社は、盗まれた暗号資産を発見するために使用しているのと同じアプローチを採用している。同社の創業者でCEOのベザレル・ラヴィヴは「当社の長期的なゴールは、イスラエル軍のアイアンドームが国を守っているのと同様な仕組みでブロックチェーンを守り、デジタル取引と資産の強固なセキュリティを確立することだ」と述べている。
変化し続ける状況に対処する
同社のチームは、イスラエルのサイバーセキュリティの知識と暗号資産の専門知識を活用し、デジタル資産の取引をリアルタイムで監視し、疑わしい取引にフラグを立て、さまざまな方法を駆使して口座の所有者を特定する。「ブロックチェーン分析における最重要課題は、特定の取引IDの背後にあるエンティティIDを明らかにすることだ。進化し続けるブロックチェーンを効果的に監視するためには、識別手段を強化し、パワー分析を戦略的に利用することが重要だ」とラヴィヴはいう。
ブロックチェーンの世界では、新たなネットワークが定期的に出現している。ロイターは最近、テロ組織への暗号資産の送金プラットフォームとして、トロンがビットコインを追い抜いたと報じた。10月7日のハマスの攻撃から数週間後、イスラエルは知られている限りで過去最大の暗号資産の口座の差し押さえを発表し、ガザ地区の両替会社ドバイ・コー・フォー・エクスチェンジに関連する約600口座を凍結した。
ライオンズゲート社は、変化し続ける状況に対応しようとしている。「新たなドアを開くためには、新たな鍵が必要なのです」とラヴィヴは述べている。
(forbes.com 原文)