独立調査機関のコンフリクト・インテリジェンス・チーム(CIT)は、ウクライナ東部ドンバス地方のドネツクと隣接するマキウフカに、米国製の高速対レーダーミサイル(HARM)であるAGM-88の残骸があると指摘した。
ウクライナ空軍の戦闘機ミコヤンMiG-29とスホーイSu-27が、地上レーダーなどのロシア軍の電波源に向けて発射するHARMは、ドネツクとその周辺の防空システムを狙った可能性がある。
だがCITは、ロシア軍が民間の建物に妨害電波を発信するPole-21電子戦システムを設置していると指摘。「HARMミサイルがそのようなシステムを標的にした可能性は排除できない」とCITは述べた。Pole-21や他の電子戦システムが、HARMのレーダーシーカー(目標捜索装置)を引きつけるほど強力な電波を発するかどうかは不明だ。
証拠は決定的ではない。だが、それが実際に起こっていることを、ウクライナの自由を支持する人々は望むべきだろう。ウクライナが現在陥っている膠着状態を打破し、2024年に意義ある前進を遂げるためには、対電波妨害の大規模な作戦を成功させることが必須だ。
というのも、ウクライナ空軍は現在、始まって1年10カ月近くになる戦争の約1000kmに及ぶ戦線全体で制空権を握るための策は言うまでもなく、パイロットや戦闘機、弾薬も不足しているからだ。
ウクライナは全制空権を握ることはできないが、制空権が地上作戦の成功を最も左右する前線の上空では、航空優勢を確保することができる。
制空権が重要なのは、ロシア軍とクライナ軍のどちらも、車両や歩兵を追跡するために小型の自爆型ドローン(無人機)を何千機も使用しているからだ。これらの1人称視点(FPV)ドローンは、戦場では大砲や地雷に次いで3番目に危険な武器かもしれない。
自軍のFPVドローンを飛ばし続けながら、敵軍のFPVドローンの飛行を妨げることに成功すれば、地上の作戦に大きな影響があることは明白だ。ドローンを飛ばせなくなった側は麻痺する。ドローンを飛ばし続けている側は自由に行動でき、自信を持って攻撃できる。