ロイター通信によると、キーウスターの携帯電話サービスは2430万人の利用者を抱え、家庭のインターネット接続サービスの契約者も110万人にのぼる。キーウスターはフェイスブックで、利用者の個人情報は漏洩していないと説明した。
キーウスターのオレクサンドル・コマロウ最高経営責任者(CEO)は地元テレビ番組に出演し、復旧時期のめどは立っていないと語った。
「ほぼ100%ロシアが関与」
キーウスターによると、ウクライナの法執行機関が捜査を進めている。コマロウはブルームバーグ通信の取材に、サービスの停止が「サイバー攻撃によるものなのは確実であり、背後にロシアの組織がいる確率は100%に近い」と断言した。誰が関与したかを示す証拠は出ていない。米紙ニューヨーク・タイムズによると、ウクライナ北部スームィ市の当局は、攻撃によって空襲警報システムが「一時的に機能しなくなる」と述べている。
世界各地のネット接続状況などを追跡調査している団体ネットブロックスのデータでは、キーウスターの利用者のネット接続率は12日、未明には100%近かったのが20%以下まで一気に落ち込んでいる。
ニューヨーク・タイムズによれば、ウクライナの大手金融機関モノバンクもサイバー攻撃を受けたと明らかにしている。キーウスターへの攻撃との関連性は不明。
ウクライナ西部の都市リビウでは、公共交通機関のダイヤが乱れているほか、ATMを利用できない人も出ているという。
フォーブスはロシア外務省にコメントを求めたが、現時点で返答はない。
侵攻前後からサイバー攻撃も急増
ウクライナは2022年2月にロシアの全面侵攻を受ける前から、ロシアによるサイバー攻撃の標的にされてきた。米グーグルの脅威分析グループが今年2月に発表したレポートによると、ロシア政府の支援を受ける攻撃者は、侵攻に先立つ2021年、サイバー攻撃を増大させた。2022年には、ロシア側によるウクライナのネット利用者を標的にした攻撃は2020年に比べ250%増加。標的者の在住国でもウクライナが最多だった。
ウクライナのアントン・デモヒン外務次官は10月、ロシアによるサイバー攻撃は引き続きウクライナの政府・保安機関、企業、金融機関を標的にし、ますます巧妙化しているとブルームバーグに語っている。政府の集計によると、ウクライナでは侵攻前後の2022年1〜9月に3974件のサイバー攻撃があった。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は訪米中で、12日には米議会で追加支援を訴えたほか、ジョー・バイデン米大統領と会談した。
(forbes.com 原文)