二次電池とは、充電を行うことにより繰り返し使用することができる電池のことである。スマホやノートパソコンなどの小型モバイル機器、または列車や自動車、航空機や船舶などの輸送車両や病院、ビル、工場、公共機関などの施設電源や防犯設備の電源にも使用される。
韓国で二次電池株が高騰したのは、EV(電気自動車)に使われる車載電池の売上が伸びたからだ。 EV市場は、テスラを筆頭に米国勢、欧米、中国も参入している。日本のトヨタもハイブリッドカー(HV)を固守し、EVに関しては出遅れ感があったが、2026年までにEVの新モデルを10車種投入すると発表した。
特に、今年の二次電池銘柄の株価を牽引した韓国企業であるエコプロ(二次電池素材メーカー)は、設立当初の1998年6000万ウォン(約600万円)だった売り上げが、2021年には1兆5042億ウォン(約1500億円)を超えた。そして、2022年には5兆ウォン(約5000億円)を超え、今年は9兆ウォン(約9000億円)台になると予想されている。
ちなみに、今年1月2日の終値が約11万ウォン(約1万円)だったエコプロの株価は、一時150万ウォン(約15万円)を突破して、夢の「テンバガー=Ten-bagger」(10倍株)を達成した。
一方で、エコプロをはじめ、エコプロビーエム、ポスコグループ株など、急騰する二次電池株を持っていない人間は、FOMO(fear of missing out :株が高騰している市場で、疎外されることを怖がること)現象で、眠れない日が多いとも言われた。
ブームの裏にバッテリーおじさん
この二次電池株の高騰を筆頭に、いま韓国では空前の投資ブームが訪れ、サラリーマンや専業主婦、引退した高齢者、大学生までも株を持つ時代となっている。さらに、将来のために赤ちゃんにまで株を買ってあげるという風潮もできつつある。ネットフリックスで今年人気だった韓国ドラマ『ザ・グローリー~輝かしき復讐~』でも、知り合いのおじさんが小学生の子どもに何が欲しいかを質問すると「サムスン電子とカカオの株」と答える場面があった。というのも、ドラマが制作されていた時点ではサムスン電子株とカカオの株は「国民株」といわれるほど、人気銘柄だったからだ。
しかし、今年になるとサムスン電子やカカオの株は、あまり振るわなくなった。特に、カカオは最高値に比べると10分の1ほどに株価が暴落した。その代わりに、前述した二次電池株が暴騰したのだ。
そしてその陰には、昨年半ばから「サムスン電子株を売って二次電池株を買え」と喧伝した「バッテリーおじさん」ことパク・スニョク氏の存在があった。