米運輸統計局によると、米国では今年、飛行機の遅延回数が100万回を突破。これは全便の約23%を占め、過去10年で最も高い割合となった。オハイオ州立大学で都市計画を研究するジェンホア・チェン教授は、米連邦航空局のデータを引用し、米国におけるフライト遅延の約75%が天候によるもので、今夏は激しい雷雨と熱波の影響で特に多くの遅延が発生したと指摘する。
チェン教授は自身の研究から、中国や欧州、日本では、悪天候でフライトがキャンセルになった場合でも、短・中距離の移動であれば高速鉄道を利用することで目的地に到達できる選択肢が確保されていることが分かったと語った。しかし、米国ではそのような選択肢が存在しない。
ユナイテッド航空のスコット・カービー最高経営責任者(CEO)は、ポリティコが7月に開催したイベントで「温暖化によって大気が暖まると、雷雨が増えて運行に支障が生じるケースが増えるだろう」と述べていた。
日本で新幹線がデビューしてから約60年が経ち、現在では時速300kmを超える高速列車が欧州や韓国、台湾、中国を走行している。特に中国は、4万km以上にもわたる広大な高速鉄道ネットワークを建設した。一方、米国には高速鉄道が存在しないが、今後数年で建設されるかもしれない。超党派によるインフラ法案(Bipartisan Infrastructure Law)によって、鉄道整備に数十億ドルが充てられる計画だからだ。
バイデン政権は11月、ボストン―ニューヨーク―ワシントンD.C.間を走る「アセラエクスプレス」を時速150マイル(約240km)から160マイル(約260km)に高速化するため、アムトラックの北東回廊に164億ドル(約2.4兆円)を拠出した。カリフォルニア州が1050億ドルを投じる高速鉄道システムと、ラスベガスとロサンゼルス郊外を結ぶ高速鉄道「ブライトライン・ウェスト」も、12月に連邦政府からそれぞれ約30億ドルの補助金を獲得した。