三人寄れば文殊の知恵というように、今回は「インキュベーション女子会」と題して、三者三様の立場で事業創出や次世代を担うアトツギたちをサポートしてきた女性3人が、起業支援の裏話を赤裸々に語る。
ゲストは、ベンチャー型事業承継 代表理事の山野千枝、狭山市ビジネスサポートセンター センター長の小林美穂、なごのキャンパス プロデューサーの粟生万琴。聞き手はスモール・ジャイアンツ担当の督がお送りします。
実は、元アトツギ娘も。三者三様の道のり
──皆さん、多様なバックグランドをお持ちですが、いまのお仕事を始めたのが2018〜19年で同時期という共通点があります。まずは自己紹介をお願いします。小林:初めまして。山野さんも粟生さんも共通の知人がとても多く、SNSでお名前を拝見することが多かったので、今日はお話できて嬉しいです。
私は埼玉県狭山市のビジネスサポートセンター、通称Saya-Bizという中小企業の無料相談所でセンター長を務めています。元々はテレビドラマのADをしていましたが、ご縁があり組織変革系の企業に転職し十数年間、企業の現場に入り込む形でコンサルをやっていました。
その頃は特にファミリー企業など、100年企業の次世代社長とご一緒する仕事が多かったです。現在は現役社長の相談が中心ではありますが、若い世代のインキュベーションの相談も受けています。
注力していることは主に2つ。1つ目は、企業の代替わりのタイミングで、新たな軸で新規事業を一緒に考えていくこと。もう1つはソーシャルビジネスのインキュベーションに10年くらい携わっていて、ライフワークにしています。ムハマド・ユヌスというノーベル平和賞を受賞した経済学者が提唱しているソーシャルビジネスの型を、九州大学と一緒に広げていくということをやっています。
粟生:すみません、狭山市って初めて聞きました。小林さん、はじめまして! 山野さんご無沙汰しております。私は名古屋市の「なごのキャンパス」という閉校になった旧那古野小学校を活用したインキュベーション施設を運営しています。
三重県の伊勢市出身で、山野さん風に言うと「アトツギ娘」だったんですが、事業承継はせずに家を出ました。
いまは、なごのキャンパスのほかに、自分でLEOという会社を経営しています。ヒト・モノ・コトなど人材育成や物事を「つくる」ことをサポートしている会社です。山野さんのご縁で名古屋でアトツギプロジェクトのサポートもさせていただきました。ものづくり、ことづくりという点では、トヨタグループの事業を推進するコンサルティングをやっています。
最近は地元である三重にもよく帰っていて「TOKOWAKA-MIE」という、新規事業を生み出すプログラムをやっています。三重のスタートアップ創業と、アトツギベンチャーの新規事業創出サポートをしています。